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12/16の破壊者

12月16日。
5人以上集まる事が出来ない東京に比べて、新型ウィルスの影響がまだ少ない私の地元では、久しぶりに同級会が行われた。忘年会も兼ねているが、せいぜい集まっても10人にも満たない。

少子高齢化が進んでしまったこんな過疎地では、昔の友だちも仕事を得るために都会へ行って、それっきり帰ってこない友達もいるという。
毎年集まる顔ぶれに、珍しく新参者である私がいる。
昔から変わらず続けてきたというその集まりに、馴染めない気分で居たけれど、お酒が廻り始めると子供の頃の調子を取り戻していた。

飲み会の最初の時間は、都会に行ったけど、性に合わないという愚痴合戦から始まった。みんなそれぞれの思いを抱いて、都会まで行って仕事をしたけれど、あの空気、人の多さはどうも馴染めなかったという。
とりわけ嫌味な上司の話に盛り上がり、パワハラ・セクハラの社会が、身の回りに転がっていることを感じて、みんなの酒の肴になっていた。

どこか思うところがあると、誰かがそれは仕方ないよ、それはお前が悪いだろだの、成功話が出てこないまま、しくじり話に終始した。
ここにいる皆は、そうか成功していたら、ここには居なかったんだろうな。
まだ、帰ってこない友達は、どこかの都会で、それなりに成功を収めているに違いない。

帰ってきてしまった私は、皆と同じ負け組なのだろうか。

それにしても、皆こんな酒癖が悪い集団だったのか。
笑い上戸、泣き上戸、説教臭くなる人、お酒を飲んでも無口な人
子供の頃、片思いだったあのブサイクな男は、酒を飲んでも変わらずに無口なやつだった。
人生、何が楽しくて生きてんだ?

私がちょっかいを出すと、一言二言、え~、ま~、そうだね。程度には返ってくるが、全く何を考えているのか分からない。

もう、いい加減、お前の話も聞かせろよって。
ああ、私もちょっと酔っ払ってきたのかもしれない。
絡みすぎているのかな?これはセクハラになるのかな?

やい、こら。
男の頬を手でペチペチと叩いてみる。
ちょっと、止めなよと友達に諌められるというのを、何度繰り返しただろうか。

おい、お前の人生は楽しいのか?

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