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12/14の破壊者

12月14日。
彼女は帰ってこなかった。
12月9日に持ってきてもらったモノで、一人であれば一週間分はなんとか生活できる生活費を確保している。
彼女が帰ってこなかったことで、生活費にゆとりが出来た。
ほんの少しだけ、ホッとしている自分がいる。
これ以上、巻き込みたくないという気持ちもあった。
一日目で概ねのお願いを叶えてくれていたから、もう満足だった。
二日目のお願いは、彼女が逃げやすいようにと、何の束縛もなく、信じているから行ってきてくれとお願いしただけで、強制ではなかった。
彼女が逃げるかもしれない、いや、むしろどこかに逃げて欲しいという思いも働いたのだろう。
警察に直接行くことはないだろうか?
不安は一日目からあったが、彼女も彼女なりに怯えて暮らしている。
警察がどうやら怖いらしいという事も伺えた。
過去になにかトラブルでもあったのだろうか、詳細までは分からなかったが、彼女なら一日目に生活できそうな物を持って帰ってくると思っていた。
これで、どこか別の場所に移動できればとも考えたが、そんなゆとりはない。

そう、二人ならば、そのゆとりはない。
彼女が逃亡してくれたおかげで、俺もここから移動できる。
でも、まだここに居よう。
むしろ、ここは彼女が居なくなっただけで、安全な場所になったのかもしれない。
だからこのまま、しばらく、このまま引きこもりを続けて生活していれば、なんとかなるかもしれない。

問題は、その後だ。
お金が尽きた、その後。
窃盗を繰り返すのか、それとも簡単に稼ぐ手段はないだろうか……
当面の賃金がなんとかなればいい。
日雇いで稼げるアルバイトみたいなもの。
どこかに転がっていないだろうか……

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