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蟻とガウディのアパート 第19話(第二章)

「第三の目」

 人の眉間には、第三の目があるという。

 大雨が去った後、壮大な夕焼けが空に描かれているのや、
大地震の爪痕を目の当たりにすると、
その腕の中に生き物も自然もすべてを抱え込んだ何者かが居られると思わずにはいられない。

 空を見上げる。
「無」の中に、地上から消えてしまった、たくさんの命が浮かんでいる。 会えなくなった人や猫の顔を探そうと、第三の目を凝らす。

 その日、ファルーコの孫にあたるJuanは、真っ白いスーツで舞台に現れた。 
眉間にある目はだれかを探している。  
空のずっと先におられるフラメンコの神様だ。 
神様に焦がれて、自らの踊りを捧げている。 
ヒターノたちは、自分が無になり真っ白な心を用意していなければ、
神様に会えないことを知っている。
Juanにはその日、すべてを捧げても授かりたいものがあった。

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