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「動」

髪を切りに行こうか。それともエアコンの掃除をしてしまおうか。どちらを選択しても良い結果しか考えられないのは嬉しいことです。どちらを選択してもトホホな結果しか見えない時だってありますからね。程よく晴れ上がった空を見ていたらというよりも。やっちゃんが休日だったことが何より大きいかな。エアコンの掃除に軍配があがりました。

6月梅雨の湿気の時期そして真夏の熱帯夜。今夏の厳しい暑さを物語る真っ黒な埃。普段、あんなに煩わしいマスクもこんな時には大助かりです。ついでにカーテンも外して窓ガラスまで夏の汚れを落とします。誰かが背中のゼンマイを回してくれたのか。体も感性も動きだしたように次の仕事が見つかります。仕上げは電気のカバーを全部外して丸洗い。

夕方のお疲れ様会。里芋の煮物で乾杯しながら。ねえ、なんだかどこより早くお正月が来たみたいだね。おせちが無いのが残念だね。そう、9月末日すす払い完了の我が家でした。

翌日、10月の朔日祭に参加するので早朝5時過ぎに家を出ました。10月は神無月。でも神社は空っぽではなくて御神体の分身がきちんと私たちを迎えてくれているそうです。もちろんどこの神社もこの月には分身がいらっしゃるので安心して参ってよいそうです。

祝詞の奏上を終えると宮司さんが短めのお話をしてくれます。10月は神嘗祭という日本の御祭りの中でもとても重要な祭祀が10月15・16・17日連日で伊勢神宮にておこなわれ。この時に天照大神に新穀を奉して収穫の感謝を捧げるのだと教えていただきました。

そうなのか。10月神嘗祭が伊勢神宮で行われ。11月3日には出雲大社で神迎えの御祭りがあって。それから11月23日皇居で新嘗祭の五穀豊穣の御祭りがあるのね。

10月は神様が動き出す月。きっと、新しい年に向かって動き出す有り難い月なんじゃないかしら。神様が新しい年に向かうってことは私たちも新しい年に向かっているってことでしょ。もしかしたら神様の世界では10月1日が元旦だったりして(笑)我が家のすす払いもあながち季節外れではなかったのかもしれないですよね。

神嘗祭で天照大神に新米を奉納して。出雲大社の神迎えの御祭りのはじまりは稲佐の浜からです。そして新嘗祭で新米を天皇陛下が初めて食すのだと言います。この流れに私は深い意味があると感じました。日本は稲を巡る時間を持った国ではないのかと。

それは天孫降臨で神より授かった1本の稲穂と繋がっている時間ではないのかな。
神迎えの御祭りのはじまり。稲佐という名前も決して偶然ではなかったように思います。佐という字には身に沿って助けるという意味があります。稲の成長を助け稲を巡る時間を絶やさない。そんな祈りがこの日本の地に残っているのではないかと。

宮司さんの神嘗祭の話から御祭りが1つ1つ意味を持ちながら1年を通して完結していく長丁場なのだと感じました。そして、人々の祈りがあること。神と人が寄り添っていることで今年も食卓に新米がある喜びを味わえるのですね。


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