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みたもの・きいたこと - 2024年11月
すっかりnoteを離れて久しく、書くと宣言しては三日坊主に終わるのですが、引き続き気の向いたときに更新しようと思うので、よろしくお付き合いいただけますと幸いです。Xは変な投稿ばかり目に入るようになっているし(時事問題に便乗したインプレ稼ぎが多くて本当に嫌な世界だ)あんまり更新する気にならないんです。
それで最近つぶやけなかった色々を。
先月末、あんの公演で山田岳さんと共演。コレッリのコンチェルトグロッソをギター2本とフルート、ピアノで。それから岳さんとデュオでBen Wylieの”An inequality: wind flower“を演奏。あん恒例のインプロもじっくり。Ben Wyie曲でハーモニクスを綺麗に鳴らしたい都合でエレキ弦を11~のちょっと太いセットに変更して挑んだのですが、良い音するけどやっぱり弾きにくい。ジャズギタリストはもっと太いフラット弦なんかで弾いているわけで、すごいですね。それからBen Wylie曲を練習したあと即興をするときディレイとボリュームペダルの組み合わせが無意識に出てきたりして、即興における引き出しについて意識することにもなりました。それとこの曲、微分音で倍音が当たる要素を除くと津田さんの即興と近い要素があり、おそらくそれぞれお互いの活動は知らないと思うのですが、こういう形で潜在的にリンクするのが面白かったです。もっと現代音楽とそれ以外の(即興など)辺境の音楽がリンクすると面白いと思うので、そういう活動をちょっと計画中。それからエレキでクラシックを演奏するのはやはり面白く継続したい。そしてタッチがダイレクトに反映される気がして、テレキャスターってやっぱり良い楽器です。
11月初頭、急に寒くなったので、うかうかしていると冬になってしまうので今のうちに一身に秋を浴びておこうと思う。雨が降るたび寒くなっていく気がするのですが、視聴室で観た今西紅雪さんと坂口光央さんのデュオは、外の雨まで音楽の一部に溶け込むようで大変良い時間でした。あと土曜日の夜の神保町は侘しくて良かった。普段車移動が多いので、ゆっくり視聴室でビール飲める時間も久しぶりだった気がする。
その翌週、電力音楽 + 今井和雄さんのカルテットを観る@水道橋Ftarri。電力音楽のノイジーな(褒めています!)演奏に今井さんが加わることでさぞ大爆音になるのではとある程度覚悟して臨んだのですが、実際はむしろマイルドになっていて、マイナスにマイナスを掛けるとプラスになるじゃないですが、大変面白い作用でした。このマイルドも決してネガティブな意味ではなく(この表現は普段極力避けているのですが)、むしろ音楽的になっていたのが印象的でした。外ではYoasobiの東京ドーム公演があって、水道橋の駅を降りてFtarriに向かっていく途中、外まで「群青」が響いていた。
肌寒い某日の夜、キャビキュリへ。Julia WolfeのEast Broadwayはとりわけ集中して聴き込めて、とても丁寧な音の置き方だと感じた。あと演奏がやっぱり素晴らしい。渡辺裕紀子さんの「名前のない時間」も大変清らかな時間で、色々発想が広がるものでした。ゲーテインスティチュートから表参道まで散歩して帰宅。
よく晴れた某日。Julian Lageのライブ@すみだトリフォニー。小ホールはよく訪れますが大ホールに入ったのは初めてかも。まずホールなのに音響が良かった(ベースもバスドラもクリアに聴こえた)そしてギターのタッチがとにかく丁寧、トリオの演奏の息もぴったりでした(なぜそこで合うんだ!という瞬間がいくつも)エフェクターを踏み換えずタッチで聴かせるギターに感銘を受けたその翌週にはヤコブブロのトリオで正反対の魅力も浴び(たぶん演奏中にすごい細かくペダルのパラメーターを調整していた)エレキギターの魅力の両輪を体感した11月でした。
それから、田上碧さんのレコ発。アルバムも素晴らしかったですし、レコ発最高でした。実直なのに思慮深く力強いのに繊細な眼差しが備わり、正直で強度ある表現に羨望を感じてならなかった。ステージの田上さんは、うまく表現できませんが身体を投げ出したダンサーのようでした。こう見られたいって作り方ではなくて、ありのままを投射すること。何をするにもそんな姿勢を崩してはいけないなと思ったのでした。
最近の見たもの・聴いたことの雑記終わり。
最後にちょっとだけお知らせ。
明日は水道橋Ftarriで東京現音計画のプレライブ。チューバとエレクトロニクスのための新作初演があります。プログラムにも書きましたが、着想はチューバの音色から船の汽笛、斉藤茂吉を経て夜明け、そしてシュルヴィッツの絵本といった具合に連想ゲームのプロセスがあります。あと橋本さんの細かな技法が本当に素晴らしく(カラートリルがあまりにもお上手なのでリハ中笑ってしまいそうになった)有馬さんのエレクトロニクスもスコアに書かれていない意図を汲み取っていただき、細やかなケアをしていただきました。(お二人がなぜ多くの作曲家や演奏家たちから信頼を得ているのか、一端を垣間見れた気がします)マークアンドレをはじめFtarriの空間でこそ良い体験となるのではないかと思います。ぜひお越しください!
その次の月曜日の夜は、しばてつさんの「近況」シリーズに出演させていただきます。ギターの集いになりそう、久しぶりにピアノも弾くかもしれません。
そして月末30日、土曜の夜は満月カルテットです。小伝馬町ツバメスタジオにて20時から。荒木さんとの共演とても楽しみです。ヤコブブロに感化されて色んなエフェクターを引っ張り出しては30日のアイデアを模索中。それからみんなでお絵描きして作ったグッズのお披露目も。少し遅い時間ですが、良い夜になると思いますのでぜひ。
諸々ライブの詳細はこちらからご覧ください。
あっという間に年の瀬になってしまいそう。過ぎゆく時間に意識的になりたくて、本を読んだりノートを書いたり、ちょっとデジタルデトックスをはじめている最近でした。