《鬼の旅9》 白山神社の謎と封印された過去
ヌナタマ姫が姿を現した翌日は、
久々に晴れ青空と太陽が出ていた。
これなら、電車&20分の徒歩も大丈夫そうだ
糸魚川駅から能生駅に向かい
そこから能生白山神社へと向かった
白山神社といえば、菊理姫命が主祭神であるが
不思議なことに、この神社の御祭神に
菊理姫はいない。
さらに、なぜか伊弉諾命が祀られている。
手を合わせた瞬間
「これは全て嘘である」
と聞こえた。
やはり…
能生駅からここへ辿り着くまで、
20分歩きながら考えていた。
なぜ、菊理姫命ではなく
ヌナタマ姫が白山神社の名で
祀られているのか
菊理姫命とヌナタマ姫の関係は一体何なのか?
その瞬間、ある仮説が浮かんだ。
菊理姫命といえば、石川県白山市に
総本山、白山比咩神社があり
ヌナタマ姫が命を自ら絶った地、
ここ糸魚川とも割と近い位置関係にある。
もしかして?
菊理姫命がヌナタマ姫の魂を
括ったのだとしたら??
そして、その魂が豊玉姫だったとしたら??
昨日、「わたしは豊玉姫である」
という言葉にも通じる・・・。
それならば、なぜ、
菊理姫命の名前がないのだろうか?
本殿で真相を知ることとなるー
隠された女神とは
現在、書かれている御祭神
《奴奈川姫命・伊奘諾命・大己貴命》
「これは全て嘘である」
そう告げられ
本当の御祭神に意識を集中させると
菊理姫命・ヌナタマヒメ・伊邪那美命
であるとー
菊理姫命はヌナタマヒメの魂をくくった。
そして黄泉の国で、お互いの悲しみや想いを
分かち合うことができた伊邪那美命
その三女神が、この神社
本来のエネルギーであった。
ヌナタマヒメは菊理姫命に魂を救われ
一度、豊玉姫の中に入った。
だから、ヌナタマヒメの魂は
豊玉姫の中で生き続けてきた。
それが龍神とも繋がりが深い所以であるー
その証拠に、近くにある弁天岩の説明には
こう書かれており、岩上には実際に
「龍神」が祀られている。
また、対岸の「尾山」とは、本殿横にある
大きな山のことである。
ここからは感覚でしかないが、
「尾」といえば善女龍王の
「尾珠」を思い出すー
つまり…この山はやはり、
龍が生まれる場所なのであろう。
実際、儀式を執り行うと
三女神と共に、龍神も多く
封印されていることを感じた。
菊理姫の話
では、なぜ白山神社なのに
ククリさんの名前がないのか?
ククリさんがいないのに、
なぜ白山の名がついているのか?
「建てられた当初はククリも祀られていた。
しかし、それが封印されククリの名は消された。
この土地におけるククリの役割は大きい。
封印されてしまったククリを解放する。
そうすることで、再びこの地域にある
白山神社と名のつく神社、
けれども御祭神として書かれていない所にも
ククリの力は甦る。
それが本来のあるべき姿ー
嘘で塗り固められた史実はもういらない。
真のことを知る者のみ、
この真実に行き着くことができる。
故に、白山という名前は今世まで
残し続けてきた。その日が来ることを待っていた。
今、我の力をここに取り戻す時ー
解放、復活の儀をー」
解放と祝魂歌
儀式の間、封印された悲しみ
存在を消されたことのやるせなさが
痛いほど伝わってきて涙が止まらない。
結局のところ、女神たちの力を恐れた者たちが
押さえつけることで、力を奪ってしまったのだった。
何も悪いことをしていないのに…
自分の命を全うしていただけなのに…
祝魂歌を捧げながら、呪縛を解き放ち
女神たちの力を復活させてゆく。
この時に、歌いながら
こんなメッセージをもらった。
祝魂歌の歌詞の中に
「解き放て、呪縛
立て、立ち上がれー」
とあるが、これは人間たちに向けでなく
閉じ込められた神々の解放にも繋がる曲
だからこそ、全国で歌うこと、舞うことが
必要となってくる。
そのために、この曲が生まれたのだとー
三女神復活、そしてー
菊理姫命・ヌナタマヒメ・伊邪那美命
三女神の復活と共に、本殿隣の尾山の
龍たちの解放がはじまった
その瞬間、どさどさどさーーー!
と屋根に積もった雪が落ちたり
風が急に吹き始めた。
山からたくさんの龍たちが
飛び立っていくのが見える。
儀式の終わりを確信すると同時に
「そこに寝転がって」とククリさんが。。。
え?この雪の上にですか?
「えぇ。そうしないと…
(あなた倒れるわよ)」
急に倒れるより、はじめから倒れておくか
と、雪の上に横になる。
見上げた風景の美しさに浸っていると
「もう、いいわよ」と。
弓月、パワーアップ♫
の音が聞こえた。
どうやら、今回のお礼にと
三女神の守護と本来のエネルギーを
注入してくれたようだった。
無事儀式を終え、改めて空を見上げると
まるで別世界の空になっていた。
その空模様から、神々の
晴々とした姿が伝わってくる。
「あぁ、よかったね。本当によかったね。」
一人で、何度も噛み締め、呟きながら
白山神社を後にした。
つづく