世界で最も小声で大きい呟き
髪の毛を切った。
今まで友人達から大好評だったウルフカット。美容師さんに「伸ばしてもすごく綺麗な形になっていて好きでした、名残惜しいけど襟足無くします」と伝えた。「本当に?!?!」と3回聞かれ、流石に笑ってしまったが心は晴れていた。
担当の美容師さんが大好きだ。からっとしていて、営業向き、客が立て続けに来るも「僕担当しますよ」と引き受け、この仕事が本当に好きなのだと分かる。仕事人間は私の密かな1番の味方だ。思わずにこにこして業務を凝視してしまう。
夕方に遠出したため、すぐに帰りたくなくて本屋による。得体の知れない精神不調に一手打てないかと、エッセイの本棚を漁る。ペラペラめくって探す。なんのヒントも得られなかった。
実はなんとなく原因が分かっていた。
『こんなに人に恵まれて、愛されて、自分も愛しているのに、寂しい』
この寂しいには2つの要素がある。
【 暇 】
夏休みに入って、授業がなくなった。
サークルもあったし、実家も帰ったし、友人と遊んだ。暇ではなかったと言いたいが、私としては本業以外は暇つぶし判定になっていると気づいた。同時に、大学と学生、企業と従業員のように、資本が関わってくるようなものを本業とカウントしていると分かる。
「暇すぎると病む」というが、それなのだろうと思う。ここ1か月、やることはやっていたが、計画の見直しをするどころか、感性に従って生きていた。夏休みやりたいこと50を達成したいと思うあまり、それに執着しすぎていた。結果的にこのザマである。バイト先がやっと決まりそうであるが、遅かったなと後悔が残る。暇に関しては大学再開後、解決するであろう。
【 人肌 】
人肌が恋しいのが謎の精神不調の大きな原因だと思う。
「なぜぬいぐるみが好きなのか」の問いに対して、肌触りが良いからと本気で思ってた。だが、自己分析中にふと「甘えられないからでは?」という思考が浮かび、泣いてしまった。多分そうなのだ。ぬいぐるみが好きなのも、人との関わりを求めているのも、全て長女のプライドで心の底から甘えられないからこそだと気づいてしまった。
会話したり、会ったりで寂しさは無いものと思っていたし、その点に関しては確実に満たされている。問題は、自覚してからというもの、人肌が異常に恋しいというところだ。
高校時代、母が更年期だったのもあり、定期的にハグを求められていた。妹とは仲が良いので、マッサージしてあげたり、かなりくっついていたりと、身体的接触が多い。身体的接触はセロトニンを分泌させ、ストレスが3割ほど回復するということが言われている。実家住みの時は知らないうちに回復していたらしい。
(とはいえ、実家も実家で気を遣っていた。母には「あまり欲が無いよね」「妹は友達と驚くほど遊びに行くし、お金も使う、もしかして我慢してた?」と言われる。前者はあながち間違ってはない。後者に関して、貧困家庭寄りだし、親族間のいざこざを直に見てきたし、それに抗えなかったトラウマと、「いい子」にしていれば心の傷が最低限に抑えられるという学びで、まぁかなり我慢していた。「いや別に我慢はしてなかったよ〜」と答えてしまったところにそれが表れている。)
大学で一人暮らしになって、身体的接触は0に等しくなった。「落ち着く」がない。ぬいぐるみは増えていく。もっと大きいものが欲しい。本当は自分より大きいぬいぐるみが欲しいが、なんせ掃除に邪魔で、洗うのも大変だから抑えている。ぬいぐるみ増やし=自傷行為なのでは?
人間だったらな、と思う。私が妹にするように、私だって人に頭撫でられて褒められたい。世話焼かれたいし、泣いても許されたい。誰でもいい、叶うことなら膝の上に乗って1時間ぐらいハグされていたい。ついでに心臓の音も聞かせてもらいたい。そしてそのまま眠りたい。
そんなこと言ったって今はどうしようもない。とりあえず原因が分かったことだけに感謝して、泣いて、諦めて、受け入れて、寝ろ。そしてなかったように日々を生きよう。
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