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怪しい短歌 ロ 10首

話したいことがたくさんあるけれど廃墟には誰も 私も   いない

風が吹きススキと腕が揺れている ふわり さよなら 夕陽が 沈む

首無しの黄金虫歩む夏の午後追いかける蟻の黒き前脚

力尽き羽化の途中で魂となって飛び立つ油蟬

照柿に髪の生えたるもげば崩れ種の代わりに出し人の歯

岬にてヒトタケ生えし噂立つ暗い心で探す者あり

夜桜の舞い散る様を羽に写し蛾は柔らかな闇へと溶ける

美しく静かに眠るような顔果物籠の中に紛れて 

竿垂らす死んだ魚が撥ねる池ドロドロとしたものが喰い付く


これらはナナロク社主催の新しい歌集のための選考会に応募したものです。

Xにポストしたものです。

毎週月曜21:00頃に1首、自作の怪しい短歌をポストの予約をしてあります。

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音郷
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