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私の家のはなし

父から電話がくると、何事かと思って心臓がばくばくする。大抵、大ごとだから。

電話をかけ直すと、母がでた。

より一層、心臓がばくばくする。

しかし母はあっけらかんとした声で、「帰ってくる日にち、ずらしてほしいんよ〜」と一言。

え?と聞き直すと、「お姉ちゃん手術前やから、入院中に帰ってきてほしいんよ!」と。

あまりにも情報過多でパニックになる。仕事に戻らなきゃいけなかったから、落ち着いたら電話するわ、と電話を切った。

仕事のあいだ、色々と考えた。何の病気だろう、ついに私も実家に戻るときが来たのかとか。

我が家に、報連相は存在しない。

父が入院したときも、親戚問題に巻き込まれて裁判になったときも。

大抵、たまたま、私が家に帰るタイミングでそれを知っただけで。

同じく、会社をやめても、引っ越ししても、バイクの事故も。私も家族に報告も相談もした覚えはない。

でもなぁ、お姉ちゃんの病気ぐらいは早めに教えてくれてもいいやんなぁ。

そんな思いを抱えて、電話をかけ直すと、なんと、親知らずの手術だったことが判明した。

なんだー、歯の手術か。めちゃくちゃホッとした。

母に「私が帰るって言わなかったら、手術のこと教えてくれやんかったよな?」って聞いたら、

「だって死ぬわけじゃないやん」ってひとこと。

死ぬわけじゃないのに、わざわざあんたに心配させなくてもいいやろ。って。

なるほど、なんか納得。この血を私は引き継いでいるわけだ。ある意味、かっこいいよな、この人。と思う。

自分が心配症であるがゆえ、人を心配させてはならないという使命感。ちょっと独特だけど、愛情深い気もする。わかりずらいけど。

ようやっと、我が家の色が何色か見えてきたような気もしている。

これが、私の家の話。

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