訪問販売で出会った人 その4

今回は「人」ではないのですが。

訪問販売をしていた頃は街中から地方までいろんな場所を廻りましたが、恐らく滋賀県だったでしょうか。少し怖く感じる不思議な体験をした事があります。

田舎の家というとやはり昔ながらの日本家屋の一戸建てが多く、門があって、そこから入っていって奥に母屋がある、というタイプです。その日自分が廻っていた地域もそういった家が沢山あるところでした。

ずっといろんな家を廻っていると、空家なのかそうでないのか分かってきます。どんなにボロボロでも人が住んでいれば分かります。その問題の家は、門から家までの道のりが雑草が伸び放題になっており、「ここは空家かな」と感じました。しかし先入観を持ってしまうのは御法度、一応母屋の方まで足を運んでみて少し玄関のガラス越しに中を見させてもらうと、かなり散らかっている様子。やはり人が住んでいる気配はありませんでした(ガスメーターなどは見ていません)。

夜になり、その地域の3週目くらいに入っていた頃です(自分の場合、一日の中で同じエリアを3週くらい周ります、ローラー作戦ですね)。その家の前を通りかかると、家から明かりが漏れていました。そうです、夜になると人がいれば明かりがつくので、勿論明かりがついていれば人が居る可能性は極めて高くなります。

「ああやっぱり思い込みっていけない、分からないものだな」と思いながら、雑草を少しかき分けながら玄関の前までたどり着いた時、家は真っ暗でした。周りも田舎で明かりもないので、その家のガラスに何かが反射していたとも考えられません。明かりなんて、ついていませんでした。

少しの間その家に背を向けるのが怖く、どうその場を去ったのかは覚えていない、ちょっとゾッとする経験でした。

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