3月31日、今から300年前、バッハはトーマスカントルに就任した。その選考を巡る、1723年、ドイツ・バロックのパノラマ...
バロック・ヴォーカル・アンサンブル、アエルブグートと、バロック・オーケストラ、カペラ・イェネンシスが、テレマン、グラウプナー、バッハの教会カンタータを取り上げる、"Leipzig 1723"。
accentus music/ACC30598CD
1701年からライプツィヒ市の音楽監督であるトーマスカントルを務めてきたクーナウ(1660-1722)が世を去る。そうして始まる後任選び... 最初の候補は、学生時代、ライプツィヒで活躍したテレマン(1681-1767)... が、すでに、ドイツ切っての大都会、ハンブルク市の音楽監督として大活躍中!2人目の候補は、クーナウに師事したグラウプナー(1683-1760)... が、楽長を務めていたヘッセン・ダルムシュタット方伯が手放さなかった。で、3人目の候補が、バッハ(1685-1750)!そう、バッハは3人目だった... そして、今から300年前にあたる、1723年、バッハはトーマスカントルに就任する。
という3人の教会カンタータ、5曲(バッハとグラウプナーが2曲ずつ... )が取り上げられるのだけれど、ホント、興味深い!宮廷の花々しさに包まれるグラウプナー、都会のお洒落さ漂わせるテレマン、この2人と並べれば、バッハの生真面目さ、際立つなと... いや、教会カンタータとしての真っ当さは、揺ぎ無くバッハか... 並べてこそ腑に落ちるものもあったなと... 一方で、それぞれのテイスト、それぞれに魅力的で、バッハばかりでなかった教会カンタータの広がり、1723年のパノラマ、実に新鮮だった。
そんな、興味深くもヴァラエティに富んだ"Leipzig 1723"を聴かせてくれたアエルブグート×カペラ・イェネンシス... まず、アエルブグートの真っ直ぐな歌声が、教会カンタータ=毎週、日曜の礼拝の日常感を卒なく表現し... カペラ・イェネンシスのどことなしにローカル感も醸し出す演奏が、300年前のドイツ・バロックの多彩さ、リアルに響かせるよう... で、300年前の日曜のほのぼのとした空気感で聴く者を包む。何だろう?この安堵感... 心和らげてくれる音楽... 癒される。