12月24日、ミュゼットの田園感に、どこか切なさも覚え... シェドヴィルのソナタ集『忠実な羊飼い』。
ジャン・ピエール・ファン・ヘースのミュゼット、リュク・ポネのオルガン/クラヴサン、ロナン・ケルノアのチェロで、ヴィヴァルディ作として出版された、シェドヴィルのソナタ集『忠実な羊飼い』。
ET'CETERA/KTC1779
フランスのバグパイプ、ミュゼット奏者で作曲家、シェドヴィル(1705-82)が、1737年、パリにて、ヴィヴァルディの"Op.13"として出版してしまったソナタ集『忠実な羊飼い』。あの頃の"あるある"でして、作曲家の許可無く勝手に作品集が発売されてしまう詐欺まがい商法... ロンドンで、ヘンデルも、ドメニコ・スカルラッティもやられてました。いや、人気の裏返しなのです。で、ヴィヴァルディ、人気でした。
という『忠実な羊飼い』、ミュゼット(ハーディ・ガーディなど他の楽器への置き換え可... )と通奏低音のためのソナタ、6曲から成り、1番は完全にシェドヴィルのオリジナルで、2番、3番、6番にヴィヴァルディのアレンジが含まれ、4番と5番は、他のフェイク・ヴィヴァルディ案件からのアレンジという、凄い構成... もう、やりたい放題です。
いや、そんなキナ臭さ含め、おもしろいです、『忠実な羊飼い』。何より、ミュゼットの田園感溢れるサウンドに魅了!で、そのサウンドに包まれると、ひとり原野に立ち、風に吹かれながら夕日を見つめるような... 何だか、野焼きの匂いでも漂ってきて、どこか切なくなる香ばしさ... すると、ヴィヴァルディは云々は、どうでもよくなり...
いや、味わい深い『忠実な羊飼い』を聴かせてくれた、ファン・ヘース... ミュゼットの人懐っこさを存分に味合わせてくれる!そして、そこからこぼれ出す楽し気な表情には、クリスマス感もある?で、ほっこり... 一方、癖の強いミュゼットの後ろで、ポネのクラヴサンの透明感、ケルノアのチェロの雄弁さも、魅力的。