3月6日、いつもとは違う温度感で魅了してくる、バッハ、アルト・ソロによる2つのカンタータ...
イギリスのカウンターテナー、アレックス・ポッターが、オランダのオルガニスト、レオ・ファン・ドゥセラール、ベルギーのピリオド・アンサンブル、イル・ガルデリーノの演奏で、バッハのアルト・ソロによるカンタータ、35番と169番を歌う。
passacaille/PAS1092
1726年、トーマスカントル(実質、ライプツィヒ市の音楽監督、聖トーマス教会の楽長で、聖歌隊の指導者... )に就任して、3年目、バッハ(1685-1750)が才能あるアルト(聖歌隊のアルト少年?)を見出し、インスパイアされて書いた?アルト・ソロによるカンタータ、35番、『霊と心は驚き惑う』と、169番、『神にのみわが心を捧げん』(は、厳密にはアルト・ソロではなくて、最後に合唱でコラールが歌われる... )、何気にオルガンが活躍する2作品でもあって... オルガン独奏による、トッカータ、アダージョとフーガ、ハ長調(BWV 564)が、2つのカンタータの合間に取り上げられる。
ということで、2つのカンタータ... まず、印象に残るのは、シンフォニアの充実(両作品ともに、実質、オルガン協奏曲!)。のっけから、バッハ先生、気合入ってる!いや、これから、特別なアルトが歌い出しますよ感、ビンビン伝わってくる!で、そのアルトの、何とも言えぬ艶やかな表情... まるで、その艶やかさを味わい尽くすかのように綴られてゆく音楽... 裏を返せば、それを歌える逸材がいたということ... そして、あのバッハも大いに刺激を受けたということ... いや、多彩を極めるバッハのカンタータだけれど、いつもとは違う温度感で魅了してくる2つのカンタータ...
そんなアルト・ソロによるカンタータを歌うポッター。カウンターテナー独特の滑らかさ、深みがありつつ、その歌声、芳しくもあって、ドイツ・バロックの内に秘めたエモさ、さり気なく解き放ち、聴く者を惹き込んでくる。また、ソロ・カンタータながら、スケール感も引き出し、確かな聴き応えも... そこに、ドゥセラールのオルガンが華麗に加わり、もうひとりの主役(トッカータ、アダージョとフーガがすばらしい!)として、存在感を見せる。さらに、イル・ガルデリーノの花々しい演奏!それら相俟って、バッハが、じわっとゴージャス。
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