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内と外、両方に関われる場所で。自分の心に素直に、まっすぐに。

大人の島留学・島体験に参画した皆さんの来島前・来島後、そしてこれからについてお届けする「私、島で働く。」

来島のきっかけ、仕事の様子、仕事への想い、自分自身の変化など
1人1人のストーリーをお届けしています。

今回お話を伺ったのは
(株)海士に所属し、島じゃ常識商店・船渡来流亭(セントラル亭)・経理業務に携わっていた2022年度4月期生の奥山あかりさん。


日々の仕事や出会った人たちとの関りを通じて、自分のやりたいことを見つけていったという奥山さんの半年間をお届けします。

奥山あかりさん 大阪府出身
R4年度4-6月期の島体験生として来島しました
 

時間が経っていても

島体験を知ったきっかけは、大学のHPに同じ大学の先輩だった藤尾ことみさんが海士町でインターンをしていた様子が掲載されていたことです。

記事の中で、「海士町に来て考え方が変わった・周りの人が素敵」と話していたのが印象的でした。ただ、その記事を読んで「行ってみたいな」って直感的に思っていましたが、当時は部活が忙しくて行けず…。

インタビューを受ける奥山さん

時間が経ち、就活が始まって、いろんな説明会やインターンへ参加しましたが「自分は何やりたいんやろ」ってもやもやしてきたんです。
なんとなく観光に興味は持っていたのですが、大阪以外で働いたり住んだ経験もなく、一回働いてみるしかないと思ったとき、昔読んだ先輩の記事を思い出しました。もう今しかないと思って参加を決めました。海士に来て、先輩の話をしたらEntoで今も働いているとのことで挨拶させていただきました。


”地域の人と島外の人”両方に関われる場所で

もともと、やりたいことは明確にはなかったんです。ただ、観光に興味があったので観光という軸で”地域の人と島外の人”両方に関われる場所で働けたらいいなと思っていました。

そんな時、(株)海士所属の事業所としてキンニャモニャセンターにある
島じゃ常識商店と船渡来流亭(セントラル亭)で働いてみない?と提案していただいた流れで決めました。接客業は今まで経験したことがなかったので、やってみたかったというのも理由の1つです。

船渡来流亭(セントラル亭)にて開店準備中

観光という軸だと観光協会や交流促進課という選択肢を自分も視野に入れてたのですが、島じゃ常識商店と船渡来流亭(セントラル亭)はどう?と言われて嫌だなって思わなくて。何となくで飛び込んだ感じでした。

4月から半年が経ち、現在は(株)海士の経理の仕事を中心に置きながら、スポット的に島じゃ常識商店と船渡来流亭(セントラル亭)で働いています。


自分の”やりたい”とまっすぐ向き合うこと

もともと就職先を考えていた時、観光分野でも旅行代理店などを視野に入れていたのですが、将来は接客業、例えば旅館とかで働いてみたいなって思うようになりました。でも、家族にはそれがなかなか納得してもらえなくて…。

働いていく中で周りからも「誰でもできる仕事」「アルバイトっぽい」「島じゃなくてもできる仕事」って言われて、確かにそうだなと思うときはありました。でも、自分の中では「やりたい」って気持ちがあったのでもやもやしていました。

セントラル亭店長の佐藤さんと奥山さん


その時に、船渡来流亭(セントラル亭)で働いている人と話していたら、自分の目標や想いをもって頑張っていることを知りました。誰でもできる仕事かもしれないけど目標を自分で持って頑張っていたら、それはすごく素敵なことだなって思うようになったし ”自分のやりたい事” にまっすぐ向き合おうと思えました。

ここで働くようになって、ちょっとでも興味があったらなんでもやってみようと思うようになりました。例えば、最初は苦手意識があってもう無理かもって思っていた接客も続けていくことで段々と楽しくなったし、やってみることの大切さに気づきました。今まで触れたことなかったことであっても、できることがどんどん増えていくのが今は楽しいなと思います。


船渡来流亭(セントラル亭)の夜営業

今まで触れたことのないことをやっていて、新たな発見が増えていくことが仕事をする中での楽しさです。6月ごろまでは ”目の前にある仕事” に追われてこなしている感覚でしたが、もっと自分の頭を使って仕事をしないといけないなって意識が変わって。最近は船渡来流亭(セントラル亭)の夜営業に関わらせていただいています。

企画の発端は、船渡来流亭(セントラル亭)の店長にお話をする時間をいただいたときでした。島体験の延長を決めた頃、「今まで自分は全然動けてなかったな」と思っていたので、周囲の方に相談していました。すると、船渡来流亭(セントラル亭)の店長とゆっくり話してみたらいいんじゃないかと提案して下さったんです。

その後、店長と話をして店長の頭の中で考えていた企画などを全部聞いて。その中の1つが船渡来流亭(セントラル亭)の夜営業でした。

セントラル亭初の夜営業

ただ、船渡来流亭(セントラル亭)の夜営業をするためにはそこで働くひとの協力が必要になります。だから自分ももっと店のために頑張りたいなって思いました。

延長してからの3カ月は私自身の働き方も少し変わって、船渡来流亭(セントラル亭)や島じゃ常識店に入る時間も短くなりました。その短くなった時間でできること・気づけること・考えることを大事にして船渡来流亭(セントラル亭)がもっと良くなるようにということを心がけていました。船渡来流亭(セントラル亭)の勤務時間内で店長や他のスタッフと夜営業の話を進めています。

開店準備中

夜営業をどうやって動かしていくのか考えるとき、自分が夜営業をしたい!で突き進むのではなくて、夜営業の目的・働く人にとっての環境・お客さんにどういう場を提供したいのか、など色々なところに目を向けて考えるようになりました。

そう思うと、海士での暮らした時間の中で船渡来流亭(セントラル亭)のこと考えてる時間が多くて、一番長かったようにも感じます。


「旅の最後にここで食事できてよかった。」

また、接客業という仕事の中で人と人との関りや繋がりを残すこと・おもてなしの気持ちを大事にしたいなと思います。

自分にとって人といることの良さは、そこで生まれる何気ない会話だなと思っています。その何気ない会話が来店の動機になっていることもあるなって言うのを現場で働いてみて気がつきました。

もともと就活では旅行代理店など地域の外からアプローチするとこで働こうと選択肢に考えていました。ですが、実際に働く中で地域の中に入って現場で働きたいという気持ちが大きくなりました。

接客業って、人の温かさや優しさを実感できる仕事なのかなと思います。もちろん、冷たい言葉をもらうこともあります。それでも、名前覚えてくれる人が居たり、地域の人も観光客の人とも話したりできるのはすごくいいなって思います。

島の入り口キンニャモニャセンター2階にある船渡来流亭(セントラル亭)
フェリーの時間に合わせて来店されるお客様も多いです

以前、閉店・フェリーの時間ぎりぎりに来店されたお客様がいらっしゃって。どうしてもカキが食べたい!と。

その後、料理を提供した際に「旅の最後にここで食事できてよかった。」とおっしゃって下さったんです。その時、船渡来流亭(セントラル亭)が存在する意味をすごく感じました。そのひと旅の最後、思い出をここでつくってもらえるんだなって思うととても嬉しかったです。


素直でいること・気持ちを伝えること

経理と現場、両方に携わる中でどちらに注力しているというのはあまりなく半々という感覚です。今、主軸で携わっている経理の業務はもともと経理担当者が1人で負担大きすぎるため誰か入ってほしいっていう事業所側の背景もあり、声をかけていただいてスタートしました。

事務所にて

もともと数字に対して苦手があったので自分には無理かなと思っていましたが、経済や経営を大学で勉強していたこともあり、やってみようかなと思って決めました。実際はじめてみると数字を追うイメージではなく、セントラルの営業に繋がってる経理の仕事もありやりがいを感じます。

現場から経理まで携わるようになり今まで考えたことのなかった
お店の裏側まで見えるようになって、視野が広がったなと思います。

(株)海士という事業所に入って、経理も現場での仕事も共通して大切にしているのは素直でいること。もともと思った気持ちをそのまま伝えられるタイプではなかったので悩んでいました。

ですが、船渡来流亭(セントラル亭)も島じゃ常識商店もEntoも(株)海士という事業所は、”感謝の気持ちやありがとう”がよく飛び交っているんです。小さいこと・些細な事にもありがとうって言ってくださる。そういった環境で働いて、小さなことでも「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることが大事だなと気づいて、今も大切にしています。


シェアメイトとの暮らし

海士での暮らしの中で、シェアハウスのメンバーに支えてもらっているというのはすごく感じています。最初の3カ月が終わり延長するかしないかの時も親身になって話を聞いてくれて、自分のことを人に話すタイプではなかった私でしたが、話してもいいかなという安心感があって自然と話すようになりました。

島体験生として滞在する期間はシェアハウスで暮らします。
これはシェアメイトと花火をした時の写真です。

最初の3カ月は何もできなくて悔しい、こんなに周りがこんな頑張ってる中で自分は何にもできんのやって思っていました。ですが、シェアメイトや職場の人が周りが話聞いてくれて、一緒に頑張ろうっていってくれたので、ここで逃げたくないと思い延長を決めて今日にいたっています。

人と比べて落ち込んだりするのも全部が悪いことではないかもしれないけれど、それよりも自分で目標を持って頑張ってる方が楽しく過ごせる気がするなと思うようになりました。

シェアハウスのメンバーと夜の散歩

来島前は、「大きな目標がないといけない」とか「やりたいことがないといけない」ような気がしていました。ですが、小さい目標を一個ずつ達成していくやり方もあるんじゃないかという他の体験生からの言葉をきっかけに、意外とこういう形も良いんだなって思うようになりました。


自分の気持ちに正直に


海士での暮らしを通じて、自分の気持ちに正直になることの大切に気づきました。就活が本格化する大学4年の4月という大事な時期に本当に行くのかって言われたけど、海士へずっと行きたいって思っていた中で、今回来ることを決めて。今、全然後悔していないです。

やってみたいって思って、実際やってみて本当に良かったなって思っています。


あとがき

何で島へ来たのにこの仕事しているんだろう

自分は何しに来たんだっけ

島で働いていると時々迷子になることも

けれど、続けるうちに段々見えてくるものあって。

来てみないと分からない、やってみないと分からない

”島”へふらっと来てみませんか


▼ちょっと気になるけど、なんとなく踏み出せない人へ

▼踏み出した先で


最後までお読みいただきありがとうございました!


                (インタビュー・執筆 / 田中・古藤)

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