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『作りたい女と食べたい女』同性婚法制化運動支援 #物語のままで終わらせない 問題点取り急ぎまとめ

 以下、『作りたい女と食べたい女』を公式略称『つくたべ』と表記します。


【問題点1】 『つくたべ』の内容そのものに問題が多すぎる

  • レズビアンライフの描写が過剰に悲劇的。当事者を「お前たちはこんなに苦しむんだぞ」と脅すディスエンパワーメント漫画である。

  • 非当事者を悪者にしてばかりで、非当事者が当事者に対して何をすべきかの提案がまったく無く、軽率に分断を煽っている。(エスパーになる以外に『つくたべ』が描く模範行動を取ることは不可能である。)

  • 一般の読者(しかも当事者)を作中で中傷した表現の疑いがかかっている。

 詳しくは上記ブログにも書いておりますので、気になる方はそちらをご参照ください。

【問題点2】 #物語のままで終わらせない の不誠実さ

  • 「フィクション消費だけで完結させない」というのは、おそらく「同性カップルのハッピーライフをポルノ的な消費で終えるのは搾取だから現実問題にも言及する」の意味だと思われるが、『つくたべ』の内容はどう贔屓目に見ても女性同性カップルの幸せに興味がない。「物語のままで終わらせておけ」という内容ばかり描かれている。

  • 第52話までやって、互いの健康面や将来設計に関する言及が皆無で、ただのルームシェア漫画と大差がない漫画なのに、あたかも長年同居している同性カップルの漫画のように振る舞っている。

  • そもそもメイン2人が付き合い始めの描写に留まっており、互いに敬語を用い名字呼びでよそよそしいままなので、この漫画で同性婚と繋げられても意図がよくわからない。

  • 連載末期は同じテーマでループしており、「物語のままで終わらせない」どころか漫画が物語として進みを止め、その状態のままで「不定期更新」という名の連載終了状態に突入している。

 そういえば、公式サイトがダウンしたのもそのままですね。まあ、管理が編集とは別部署だとか、いろいろ事情はあるんでしょうが、それを忘れた状態で支援団体としての動きを取るのも、それはまたどうなんでしょうか。

 公式サイトはどうでもいいとして、肝心のチャリティプロジェクトの公式サイトもダウンのままというのはいかがなもんでしょう。


【疑問】 同性婚訴訟判決の度に掘り返す過去の新聞一面広告

 私も性格が悪いもので、『つくたべ』公式アカウントがしきりに大金かけた新聞一面広告を見せようとするのに権威主義的なものを感じてしまうわけなのですが、文脈を考えたら過去の大きな投資ではなく漫画内の1シーンを掲載するのがフィクションと現実とのあるべきつなげ方ではないでしょうか。


【トドメ】 結局『つくたべ』とは何なのか? 「レズビアンを描いた作品として」の怪

 そして、2024年10月30日のこれです。「レズビアンを描いた作品として、すべての人が結婚を自由に選択できる未来を」は一見するともっともらしい発信ですが、先述のように問題点だらけな『つくたべ』が言うと「レズビアンを踏み台にして、レズビアン当事者以外に注目されたい」という本音があるんじゃないかと、ついつい思えてしまいます。

野本ユキのプラカード「アライになろう 差別反対」
ゆざきさかおみ:著 『作りたい女と食べたい女 3
2022年11月15日初版発行分 あとがき より

 上記の「アライになろう」のように、作者の人自身はレズビアン当事者に対して何の思い入れもなく、一連の活動がアライの牽引者願望でしかないのを自らバラしておりますが、KADOKAWAもまたそれと歩調を合わせてはいけないでしょう。


 公式アカウントは「レズビアンを描いた作品」を自称しておりますが、『つくたべ』のレズビアン描写には説得力がありません。「レズビアンには非常に様々な人がいるのだからシンプルな答えは存在しない」というのはそうなのですが、『つくたべ』はそういった当事者のグラデーションを都合よく悪用しているフシがあり、特に春日十々子の性的指向は具体的に説明されたことが一度もありません。ついでに、物心がついた頃からカミングアウトしていると自称する矢子可菜芽が(“推し”を含めて)どのような女性を求めているのかも語られたことはありません。

ねえもうちょっと飲も飲も! 話聞かせて~ 今夜はまだ寝ないぞ~っ!
ゆざきさかおみ:著 『作りたい女と食べた女 4
2022年6月15日初版発行 176ページより
第37話「タコパ」の最終ページ
そうかこれ恋バナか 楽しいですね…
ゆざきさかおみ:著 『作りたい女と食べたい女 4
2022年6月15日初版発行 31ページより
第29話「バレンタイン前 1」の直後のページ

 そこまでレズビアンとしての具体性がよくわからないのに、メイン4人全員が恋バナ大好きなのも非常にアンバランスです。


 結局のところ、「レズビアンを描いた」だの「チャリティーもやってる」だので、作品の未熟さに下駄を履かせているのが『つくたべ』であり、そういった楽な人気の稼ぎ方が何よりのマイノリティ消費です。



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