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「クィアベイティング」とは何かを考える(2024年10月版)
『チェイサーゲームW』というクィアベイティング作品
🎀🍨🍓スペシャルムービー公開🍓🍨🎀
— NYLON JAPAN (@NYLONJAPAN) October 21, 2024
『 #チェイサーゲーム W2 美しき天女たち』W主演 #菅井友香 #中村ゆりか がguys表紙にかわいく華やかに登場する#NYLON JAPAN 12月号は、10月28日発売🪽
ドラマ内に出てくる“いちごパフェ”をテーマにした、甘くとろけるストーリーをムービーでも楽しんで🍓… pic.twitter.com/MgeYbdjAd2
guys表紙は、話題のドラマ『チェイサーゲームW 美しき天女たち』W主演の二人《菅井友香》《中村ゆりか》がかわいく華やかに登場!
『チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ』の続編が9月から放送され、ますます話題沸騰中の二人。カバーストーリーは、ドラマ内に出てくる“いちごパフェ”をテーマに、笑顔やクールな表情がめくるたびに入り混じった仕上がりに。まるでいろんな食感や味が楽しめるパフェのような、スウィートでロマンティックな新感覚のファッションストーリーがみられるのはNYLON JAPANだけ♡
詳しくは後述となりますが、『チェイサーゲームW2』の主演コンビによるこの撮影はクィアベイティングとして英語圏で批判される行為です。
中村ゆりか氏は2024年1月10日ごろに俳優の男性との交際が週刊文春によってスクープされており、両者の所属事務所が同棲は否定したものの交際自体は認めて収束しております。
しかし、日本国内では『チェイサーゲームW』の主演ペアの売り出し方を否定する動きは大してありません。少なくとも、私は見たことがありません。
そこで、本記事では改めてクィアベイティングについて考えてみようと思います。なお、本記事がソースにしているサイトは2024年10月22日現在のものであり、改めて見ると更新があったり記事が消えていたりすることもあるかもしれませんので、その点はご留意ください。
クィアベイティングとは?
クィアベイティングの意味に関しては、上記サイトが非常にきれいにまとめている上に、『水星の魔女』にも触れているなど最近の国内事情にも通じており、これを読めば基本的に何も困らないでしょう。
まず第一に確認することとして、クィアベイティングとは「クィアという餌をまいておびき寄せること」、すなわち「それっぽい性的マイノリティ要素で客を呼んでおいて、最終的にそういう内容ではなかった詐欺的なコンテンツ」を指しています。
ところが、よく読むと、どうもそういった意味に限定されておりません。
上記のInstagram投稿は、彼氏持ちであることを知られていた女性が商品プロモーションとして女性とキスをしたのをクィアベイティングと批判された事例です。
すなわち、マジョリティである異性愛者が同性愛をオモチャ感覚で扱ったのが許せないという話らしく、そのあたりは欧米のLGBTQ+観が日本と同じとは言い難い事情によって起きた現象なのではないかと思います。
必ずしも単一の意味ではないクィアベイティングという言葉
Queerbaiting is a marketing technique for fiction and entertainment in which creators hint at, but do not depict, same-sex romance or other LGBTQ+ representation.[5] The purpose of this method is to attract ("bait") a queer or straight ally audience with the suggestion or possibility of relationships or characters that appeal to them,[6] while not alienating homophobic members of the audience or censors by actually portraying queer relationships.[6]
[deepL翻訳]
クィアベイティングとは、フィクションやエンターテインメントのマーケティング手法の一つで、クリエイターが同性間の恋愛やその他のLGBTQ+の表現をほのめかすことはあっても描くことはない[5]。この手法の目的は、クィアやストレートのアライの観客を、彼らにアピールする関係やキャラクターの暗示や可能性で惹きつける(「餌」)ことであり[6]、一方で実際にクィアな関係を描くことで同性愛嫌悪の観客や検閲官を疎外しないことである[6]。
英語版Wikipediaによると、「一方で実際にクィアな関係を描くことで同性愛嫌悪の観客や検閲官を疎外しないことである」とあり、クィアベイティングがアンチ同性愛の人にも同性愛描写を納得させる手法とも書いています。ここまで来ると、いよいよ「ベイティング」(餌で誘う)の意味がわからなくなってきます。
上記のページには、そういったクィアベイティング事情に関する議論が紹介されています。
同性愛差別する奴がBLドラマに出るのはクィアベイティングだ!
上記のAsiantv4uというサイトは中国・日本・韓国・タイの芸能情報を紹介する英語サイトみたいで、おそらくは英語圏の人たちが運営しているのだと思います。その中のタイBL俳優のスキャンダルをまとめた記事ですが、Krist Perawat Sangpotiratについてこう書かれています。
6. Krist Perawat Sangpotirat
Krist’s popularity boomed thanks to SOTUS as it became an iconic show. But all the love and adoration fans had towards him went down the drain as Krist was found making homophobic, transphobic jokes and comments; he also made SA remarks and joked about it on his live along with his SOTUS costar Singto. In 2023, he found himself embroiled in yet another controversy following his role in the BL drama "Be My Favorite." This came after he had previously expressed discomfort with participating in BL productions. Fans accused him of engaging in queer-baiting as a means to gain attention and fame.
[deepL翻訳]
クリストの人気は『SOTUS』のおかげで急上昇し、象徴的なショーとなった。 しかし、ホモフォビア(同性愛嫌悪)やトランスフォビア(性同一性障害)のジョークやコメントが発覚し、SOTUSの共演者シングトとともにライブでSA発言をしたり、ジョークを言ったりしたため、ファンの彼への愛と憧れは水の泡となった。 2023年、彼はBLドラマ "Be My Favorite "に出演したことで、また新たな論争に巻き込まれた。 彼は以前からBL作品への参加に不快感を示していた。 ファンは、彼が注目と名声を得る手段としてクィア・ベイティングに関与していると非難した。
数々の差別発言を行ったり、BLへの不快感を露わにしている俳優が、BLドラマに出演して儲けるのはクィアベイティングであると書かれています。ここまで来ると相当本来の意味から離れているように感じますが、おそらく英語圏の人たちがそれぐらいガッバガバに使っているのではないかと思います。
日本の「クィアベイティング」は独自用法になるのか?
先述の英語版Wikipedia「Queerbaiting」を見ると、アニメのクィアベイティング例が2つだけ挙がっていて、それが『響け!ユーフォニアム』と『終末のイゼッタ』でした。『響け!ユーフォニアム』は大定番として、『終末のイゼッタ』が入ってるのは何故…。
私なら代わりに『進撃の巨人』を入れるのに。
てなわけで、日本におけるクィアベイティングは必ずしも英語圏とは足並みが揃わないのではないかと私は見ています。
˗ˏˋ 放送まであと𝟏時間 ˎˊ˗#チェイサーゲームW2 美しき天女たち🪽
— 「#チェイサーゲームW2 美しき天女たち」毎週木曜深夜24:30~放送【テレ東公式】 (@ChaserGame_tx) September 26, 2024
なんとTVerの1話いいね数が
1万を超えているようです…😳
皆様の応援のおかげでございます🙇♀
2話の放送までの待ち時間
1話を振り返りながらお待ちください!
☞ https://t.co/ZLWWbWG4eO#ChaserGameW2 #菅井友香 #中村ゆりか pic.twitter.com/4mUeSsb5nC
【最新号本日発売】#チェイサーゲームW2 から #菅井友香 さん #中村ゆりか さんが裏表紙&巻末グラビアに登場!見つめ合い、微笑み合い、カメラマンのリクエスト以上のものを返してくれる2人はカメラが向いていない時も #いつふゆ そのものでした🫶
— TVLIFE(テレビライフ公式) (@tv_life) October 2, 2024
10/7(月)発売の「#IYU」にも2人が登場!…
首都圏ということで福岡では買えないのでネットで購入したTV LIFEが届きました。
— べーいり(宣伝広報)@サイバーコネクトツー (@iribe_CC2) October 4, 2024
尊すぎる“いつふゆ”グラビア!
いつふゆって紹介されてるのが凄くないか!?ファンの皆様のお陰だ。#チェイサーゲームW2 pic.twitter.com/uXxVzIRv8i
日本の人々は上記のような異性愛者マジョリティによる同性愛のマネに関して、これと言って厳しくないため、仮に男性と結婚した女性がドラマ以外の場面で同性愛を演じたとしてもクィアベイティングだの何だのと揉めるとは考えにくいです。
それ故、ドしょっぱつに「同性婚」を持ってきて期待させながら、『鉄血のオルフェンズ』未満の同性愛描写というショッボショボのプロットの上に、作品側から同性婚を否定され今まで我慢して見てきた時間が完全なるムダになってしまうという最低最悪のガッカリ具合を視聴者へ叩き込んだ『水星の魔女』のような事例に、クィアベイティングの意味は限定されていくような気がしています。
まあ、それ以外にも日本では実在のアイドルに使われる例がけっこうあるみたいなのですが、そのあたりは私もよくわからないので、詳しい方は独自に記事を書いていただけますと助かります。
昨今注目を集める「LGBTQ+」「労働問題」「セクハラ」など、社会課題にも鋭く切り込んだ【恋愛×仕事】ドラマの新境地に挑んでいます。
ついでに書いておくと、『チェイサーゲームW』は公式サイトにて上記のように「金儲けのために最近話題のLGBTQ+を取り上げてまーす」と、ふつーに書いているので、英語圏の人が使っている意味で言えば、その点においても壮大なクィアベイティングです。