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*触れるの先

Nとの関係が変わったのは
営業先に一緒に行った帰り道

ちょっと飯でもどう?

彼が連れて行ってくれた店は
なんてことない普通の居酒屋で
特におしゃれなわけでもなく
特にオヤジ臭いわけでもなく
仕事帰りにちょっと飲む程度のありきたりの場所だった

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「どう?最近は。少し雰囲気が変わっていい感じになったんじゃない?
意地っ張りな感じもなくなったし」

「意地っ張り?どういうことですか?わたし素直ですよ~」
「いやいや、か、な、り、曲者だよ。麻美は。」

Nは急にわたしのことを麻美と下の名前で呼んだ。
しかも呼び捨て。何この距離感。と思いつつもちょっとまんざらでもない感じ。

少しだけ肩が触れる
グラスを持つ指がそっと触れる
会話の途中に頭をポンポンと撫でられる

会話が止まった時に
わたしの顔を覗き込む

「かわいいね。麻美は。俺、麻美のファンなんだ。」

ちょっと待ってよ。
明日からどうしたらいいの。




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