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宇宙色の猫 みっつ目


宇宙色の猫に出逢ってから 3日が過ぎていた

探すつもりはなくても
気がつくと毎日同じ場所に足が向いている


『もう他の街に行ってしまったのかな…』 

また 言葉が勝手にぽつりとこぼれていく


『それにしても 綺麗なカラダだった』

『また…見たい』  


ぽつり ぽつりと 言葉をこぼしながら 
ふと我にかえり 自分の気持ちに気がついた


『あぁ まただ…』 

 ぼくは昔からそうだ

人のモノだろうが 綺麗なモノや気に入ったモノがあると 見境なく つい手を出してしまう

当然それは問題とされ 父さんも母さんも学校から何十回と呼び出しをされている

『おまえは普通じゃない…』 

『あなたは普通ではないのね…』 

『きみは何がしたいんだ…』 

『あいつ…やばいぞ』 


何度も 何度も 
そんな言葉を言われ続けてきた

当然 そのたびに うんざりしていた
どうして だれも わからないのだろうと

父さんだって 母さんだって 先生だって 学校のみんなだって だれだって
欲しいモノがあれば 手にしながら生きているじゃないか

ぼくと 何が違うというんだ 
なんら変わりはないじゃないか 


口にすることはないが 
そんな感情を何千と胸にしまいこんできた


そもそも ぼくがこうなったのにはちゃんとした秘密がある

それは小さい頃に… テレビで流れていた どこかの偉人だか異人の言葉のせいだ

空から降ってきた声と その人は言っていた


『万物は平等であり この世界も万物の一つに過ぎない 誰かのモノなど存在しない』



ぼくは 小さいながらに なぜか妙に納得したのを覚えている 

それからだ あの日から
その言葉を その意味を  
生きる術として掲げてきたんだ

ぼくは 決して悪くない…
ぼくは 何も間違ってなんかいないんだ…


そんな思考の中でも 
ふと 思い出すのは 宇宙色の猫の綺麗なカラダばかりだった



『あの中心で光る 深紅の燈が欲しい…』

また ぽつりと 言葉をこぼしていた


#言葉 #言葉屋 #短い話 #創作 #自由 #宇宙 #猫








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