「出産」と「死ぬ瞬間」
最近出産時のことが話題になり、思い出したことがあった。
「死ぬ瞬間」についてだ。
私が初産のときのこと。
朝5時頃に陣痛がはじまって病院へ行ったのだけれど、そこから微弱陣痛が続いてなかなか子宮口が開かず、なんだかんだで夜を迎えた。夜中11時過ぎくらいから本格的に痛い陣痛がくるようになって、痛みに耐えてたんだけど、しばらくしたら出血したんだよね。
ベッドで横になってナースさんが処置してくださってるなか、私は「死ぬときってこんな感じかも」って、リアルに死を感じたことを覚えている。
出産ていう、自分の力じゃどうしようもない事態が、それも自分の身体のうえに起こっている。定期的に刻まれていく尋常じゃない痛みとか、理由のわからない出血だったり、破水だったり。夜中だから当然眠くて、陣痛の合間に寝落ちして意識がなかったり。あと、夜の病室の静けさっていう環境だったり。そういうすべて、「自分の力の及ばない」状態が、「死」と結びついたんだと思う。
死ぬときもきっと、自分の力の及ばない状態になるのだろうと思うから。
あの時の情景はいまでもはっきりと覚えているし、きっと忘れられないと思う。「死ぬ瞬間」がすぐそばに漂っている感覚。
ちなみに出産は31時間かかって、翌日生まれた。
でも、第2子の時は3時間かからなかったので、初産のときのような神秘体験?みたいな感じはなかった。なんならジェットコースターに乗った時のようなスピード感満載の出産だった。
だけど、死ぬとき本当に初産の時に感じたことを感じられるのか、今すぐ答え合わせできないし、たとえこたえが合っていたとしてもそれを人に伝えることができないってことがすごく残念。
若い頃、職場の先輩たちから出産の痛みについて、叫ぶほど痛かったとか、掃除用具を入れるスチールのロッカーを殴ったとか、吐いたとか、いろいろ聞いていたので、私は出産の痛みに興味があった。どれだけ痛いんだろう?ためしてみたいって。(完全なるMなのである。)
だから、自分の出産は想像以下だったんですよ。生まれてはじめて感じる痛みだったのは確かだったんだけど、言うほどじゃなかったというか。もっともっと痛いと思ってたから。
それで今困っていることは、歯医者さんで「痛かったら手をあげて教えてください」って言われたとき。出産に比べたら痛くないって思っちゃう。がまんできるレベルの痛みだしって思うから、手をあげてよいものかすごく迷う。みんなどうしてるんだろう?ちょっとでも「痛い」って感じたら手をあげるのかな?
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