引かれた弓は過去。現代に放たれ、矢は未来に刺さる。
知らなかった。水上を浮き行くサーフボードが存在していたことを。
あのマーティ・マクフライでさえ水面ではホバーボードを持て余したというのに、昨今のソレときたら蹴ることなしに水上を進む。テクニカルな部分は、浮くにとどまらず、進む動力を与えた。
Efoil surfing
BBC NEWS の1記事が、慣れたせいで滅多に驚くことのなくなった技術革新報道の中で、足を止めさせる異彩を放っていた。
「これさえあれば、ワケなく水上でビフから逃げ切れたろうに!」
だけどマーティは、21世紀の今日までカメラを止めておくことはできなかった。1985年、映画はとっくに公開されている。デロリアンが粉々に砕け散り、蒸気機関車型のタイムマシンをドクが西部に持ち帰ったせいで、マーティは二度と未来には帰れない。せめて公開当時に気づいてくれていればと悔やんでみても、今となってはすべてがあとの祭りだ。
BBCの動画記事で Efoil surfing にいそしむ女性は、スノーボードのオリンピック選手。少し調べたら日本語によるサイトもあって、最高速度25マイルとあったが、記事には35マイル出たと書かれている。
問題は水中に特化したこと。ホバークラフトの地から離れるリニアモーター式ではなく、ジェットフォイルの水圧を利用してボディを浮かせる新幹線式は、陸地ではいっさい使えない。
ケータイの2台持ちに抵抗感のない現代じゃあるまいし、あの当時、マーティは陸用・水上用の2台持ちには違和を覚えたことだろう。重いし、かさばることだし、リズミカルな展開の映画には機動力を削ぐ設定はそぐわないこともある。
今回は、未来の乗り物が過去の記憶を呼び起こしたというお話。手塚治虫先生のSFを彷彿とさせる展開に、未来は過去に放たれた矢が向かう先であったのだなと。