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歯車とあぶく。

 事業支援金の書類を作成した。手順を追いながら、裏側の構造に目をやり、システムを稼働させるために仕組まれた歯車の数々を思い浮かべてみた。よく練られた創造物ーー構築するのに投入された知恵の塊は相当なものだったろう。率直に、恐れ入った。

 システムの骨組みや筋肉は、目に見えないところで仕事をしている。「間違いを排そうと努めた叡智の結晶」が朧に浮かんだ。その強大でラッセル車の如く地均ししていく巨力を思う。
 その巨大で強大な存在を前にした「書類作成者」の私など、気まぐれに湧いて出た諸行無常の泡粒ほどの存在でしかなかった。
 
 こちらはいただく立場なのだ。平身低頭、下げた頭の上に、受け取る両手のひらをかざす。「この手のひら上にちょうだいできうれば」
 現金が泡のように消えていく時代である。世間の風はいま、冷たく強い。耐風逸禍(造語)ーー嵐のような時代を、爪に火を灯してでも乗り切らねば。台風一過後の青空を仰ぎ見るその日まで。
 

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