逃げ出してしまいたいことや、どうしようもない怖さにでくわしたとき、どうして野良は一目散に逃げるのでしょう。
逃げて、逃げて、一匹逃げて、逃げて逃げおおせて身を隠せたとき、やがて野良は身繕いで心なだめるのでしょう。
避けと「なんだ⁉︎」と恐怖と安堵。近所の野良はこのように、外の子の寿命を今日も精一杯まっとうしようとがんばっている。漁る生ごみ、散らかし放題、目に余る行為だとゴミに網かけ、人は事前のプロテクト。猫は猫で、ここがだめなら今度はあちら、漁る縄張り広げては、しかめる顔を町内に増やしてる。
厄介なのは私道の向こうとこちら側の住人に、真っ向から対立している人が住んでること。かたや大事な命だと、玄関脇の屋外に段ボールの猫小屋2段×2列作って、野良子猫4匹を擁護し、餌をやり。猫は猫でキャットフード以外の味をしめたものだから、生ごみの日はグルメの舌で舌鼓。猫が腹鼓を打てば、猫は満足、人は大迷惑、ゴミ収集車が現れるそのときまで、散らかったゴミの後始末に追われてしまう。
そんななか、とくに猫嫌いのお向かいさんちの生ごみやられたものだから、頭にのぼった血の気がマグマと化し、ある日大噴火とあいなった。怒り心頭、その心頭が段ボールの猫小屋浸水事件に発展したのは先般お伝えしたとおり。
猫の行為は成長に合わせて日々、エスカレート。漁る縄張り、人類が事前策を打ったものだから私道を飛び出し商店街まで迷惑波が押し寄せて、問題は輪をかけて大きくなっていきそうだ。
しかもだよ。あんなに小さかった野良子猫がすでに妖艶な大人の体つき。太々しさも身につけて、逃げられる距離を測ってつかず離れず、その距離が縮んでいって、適正距離まで恐れなくなったそのドヤ顔といったら。
そしてなにより、じき子供を産めるようになる。
オスメスの区別は捕まえられないので不明だが、最悪の事態で4匹すべてがメスだとして、1匹につき4匹の子供がもれなくついてきたら4×4で合計16匹増えちゃう計算だ。
成猫まで2年。つまり2年ごとに4×4の枝葉が無限に伸びていく。
忘れてしまいたいことや、どうしようもない出来事にでくわしたとき、どうして人は目を瞑り続けるのでしょう。
現実から逃げて、逃げて、一人逃げて、逃げて逃げおおせて自分の殻に閉じこもったとき、やがて人は、ようやく現実に目を向けることができるのでしょう。
やれやれ。そろそろ傍観者で済んでたものが当事者になっちまうんだろうな。ちっ。
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