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猫のお手。

 猫が好かれる理由。それは、これ。
「お手」に応える知恵を持ち合わせながら、「自分からは行かない」の意思表示。健気で、押し付けず、三歩離れて、「お手をしてあげてるんだから、最後のツメはソッチが歩み寄ってくるべきだよね」と言わんばかりの交渉上手。甘える時は徹頭徹尾のオシなのに、ヒク時は世界が割れても顔色ひとつ変えない冷静沈着鉄仮面。ツンとおすまし、その孤高で凛としたいでたち、お見事。

「おいで」の呼び声に対しても天邪鬼。日本語は理解できても、聞こえぬふりで耳そばだて、尾をヒラユラそよがせて、歩み寄ってくれるまで、じっ。前足とって引き寄せりゃ、お尻を落として「いやいや」駄々をこねるふり。


 それでもお腹をなでなでされるやいなや、たちまちフニャ〜の快楽天国。 
 ゴロゴロゴロ、喉が鳴る。
 ふみふみふみ、前足、閉じたり開いたり。
 その無防備な甘えようといったら。
 これだから猫しもべ、やめられない。

【消極的「お手」で人を誘う。猫は動じず 自ら行かず 招くもの】


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