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誰も貧乏くじは引きたくないからね。

 トレンドは人為によるものだけど、傾向は畳の目ほどの変化が遠近の未来におよぼす影響の可能性を示唆する未知の本性の発芽。トレンドは未来を決めることであり、傾向は未来を知ることである。その未踏の傾向、気候変動を例にとれば、このままいけばどこに辿り着くか、そのおぞましい将来に身の毛を弥立たせ、描く線の行く先(ベクトル)見据えて昨今各国躍起になって対策をこうじはじめてる。ベクトルが指し示す未来予想図に、これではいかんぞと舵を取るのが事前の人知。このままいかせぬぞと腰を上げれば慈善の人治。
 COP27のさなかである。地球規模のワークショップは、戦火や高騰をどう受け止めて地球の環境変化防衛策(案)を打ち立てていくのだろう。変化する地球に施しは不可欠だが、そこには決まって妥協せねばならない理屈(都合)がある。
 エネルギー問題に対応せねば、厳寒の国では人が死ぬ。インフレがさらに進めば、ない袖の首まわりもキュッと締まり、死に追いやられる人も出てくる。失われた30年に肩を落とす国あらば、財布の家計に火の車が走るお国もあちらこちらに散見できる。

 経済や各国間均衡問題のベクトルを組み合わせると、気候変動ベクトルに正義を振りかざしてばかりはいられない。バランスをとりながら、というのが各国首脳陣の本音であり、妥協の正当化に拍車をかけている。エネルギーに不足が出れば、いったん役割を終えさせようと振りかざした正義感も手のひらを返し、舞台裏に降りた核と化石を呼び戻す。
 地球や人びとにいいこともしたいが、経済を支える国民に悪いことはしたくはない艱難辛苦の難色ベクトルが正義感ベクトルにまとわりついて、各国、まとめきれない意志が前後左右に揺れている。
 このようにして鼻息荒く臨んだ最初の気炎は次第に足取りを重くして、気候変動対策が尻をすぼませていかなければいいのにね。世界のリーダーだって人の子。面倒なことは「明日やろう」の一般庶民的解決策を取り入れて、大事なことがまたひとつ先延ばしにならなきゃいいのにね。
 次回に繰り越すのも作為。極度な局地的エネルギー不足や経済の混乱も、人の意識による故意行為。いわゆるトレンドなんだね。人為的なトレンドならばやめることも可能なはずなのに、誰もやめようとしない。やめれば自分だけが損をしてしまうから、最初に手を上げたくはないんだね。
 こうして自分の「損をしたくない」意識が見栄の背丈を高く見せ、ぎりぎりのつま先立ち状態になっている。「自分の損はイヤだ」意識が次から次へ、隣人から隣人へと伝播し、みんな一緒で「それでいい」と思い込んでしまってる。
 このまま続けばみんな一緒に共倒れ。結局全員で損の大波に飲まれてしまうというのにね。

【誰も貧乏くじを引きたくはない。
だけど「当たり」はなかなか出ない。
ほとんど出ない。
皆無といってもいいくらいだ。
「欲」で人を惹きつける仕掛け人が『儲けのカラクリ』をよく知っているからなんだね、きっと。
社会にも『利益のカラクリ』が組み込まれている。
人道支援を別にすれば、損得は社会を動かす最大のエネルギー。
それでいいのか?
地球環境に全神経を注げるくらい、善人の世になればいいのにね。】

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