クラフトビールを入り口として、宮崎のことを知って欲しい 宮崎ひでじビールのルーキー 吉田さんインタビュー
現在ふたりのみでは、「新人ブルワー応援キャンペーン Yell for Rookies」と題してRookieであるブルワーさんを応援するために、新人ブルワーさんのデビュー作であるクラフトビール6本をセットにして販売中です。その一環として、ふたりのみオリジナルである、新人ブルワーさんのインタビュー記事を全6回にわたり公開していきます。
第3弾は、宮崎ひでじビールのRookieであり、「宮崎のことを広めたい」という理念がとことん身体に染み込んでいる、吉田さんのご紹介です。
彼が初めて手掛けた「日向へべすのベルジャンエール」。限定醸造、新発売で、本当に世に出たばかりのビールになります。
吉田さんも、お客様の声が聞けることをとても楽しみにしていました。
新人ブルワー応援キャンペーンは、ブルワーさんに応援を届けるところまでが1セットです。本キャンペーンのインタビュー記事を読んでくださる方は、どのブルワーさんにメッセージを送りたいか考えながら読んでみてください。
お話を伺っていく中で浮かび上がってきたのは、「宮崎を広めたい」、その思いを実現するために仕事から仕事外まで、生活のほとんどの時間、お酒に触れる吉田さんの姿でした。レシピを書く前の下積み時代のことや、デビュー作を完成させたあとの心境の変化などのことについて話していただきたいと思います。
「宮崎を広めたい」アルバイトから入社してコツコツとビール造りに励んできた
ー今回「新人ブルワー応援セット」に封入される、新作「日向へべすのベルジャンエール」が吉田さんにとってのデビュー作になります。ご自身でレシピを書いて醸造して...初の1からのクラフトビール造りはいかがでしたか?
吉田さん:結論から言いますと、難しかったですね。
ー特にどういったところが難しかったかお聞かせください。
吉田さん:元々、宮崎特有のへべすという果物の、皮が薄くて香りもよく、何より酸味と甘味と苦味、そしてカボスなどに代表される特有のえぐみのバランスがとてもいいという特徴を活かしてビールを造り、それを飲んでもらうことで、宮崎の果物を知って貰いたい、ひいては宮崎のことをもっと知って欲しいという思いがありました。
ーへべすは、私もこの「日向へべすのベルジャンエール」を調べていて初めて知った果物です。
吉田さん:そうですよね。味のバランスが取れていることや他の柑橘と比べてえぐみが少ないことから、宮崎ではよく料理などに使われています。しかし、県外ではあまり知られていないでしょう。「日向へべすのベルジャンエール」という名前にすれば、このビールからへべすのことを知って、宮崎のことも興味を持ってくれるのではないかということを思っていました。
しかし、へべすの特徴がちゃんと活かされた味になるまでバランスをとりながら調整する作業は特に難しかったです。
そしてもう一つ、ビールの苦味が苦手な若い人に飲んで欲しいという思いもあったので、若い人が好んで飲める、苦味の強くない飲みやすいビールにすることもとても難しかったですね。
ーホップの量や麦芽の選別など、そういったことですか?
吉田さん:そうですね。苦味が少なくも、へべすの香りや薄めのえぐみを活かしたビールを造りたかったので、ホップを入れすぎると苦味や香りが強くなりすぎへべすの香りが弱くなる、逆に少なくしすぎてもビール感が出ずへベすの主張が強すぎてしまう。そういうバランスをとっていくことが大変でしたね。
そして、そういうバランスをとることの難しさみたいなものもありましたが、このビールを造れるに至るまでコツコツと頑張ってきましたから、ビール造りは本当に難しいです。
ークラフトビール業界の中でも、レシピを自分で書かせてもらえるようになるまでの時間はまちまちだと思いますが、吉田さんはどのような下積み時代を過ごされましたか?
吉田さん:これは話すと長くなります。話は小売業界で働いていた時まで遡ります。元々、商品開発のようなことをしたく、PB(プライベートブランド)も開発している小売の会社に入りました。仕事を頑張っていればいつかは開発の部署に行けるのではないか、そう思っていましたが、後から話を聞くと、どうやら開発の部署を社内の人員で造ることはしない方針だったとわかりました。それではここにいる意味がないと思い、退職に至りましたね。
ー...それは最初に言って欲しかったですね。
吉田さん:まあ、仕方ないですね。それで元々考えていたバーテンダーになろうと、熊本のバーで修行をさせてもらい始めました。その後すぐに熊本地震が起き、その店はなくなってしまいました。その時点で自分には職が無かったのですが、次の仕事を探さないとどうにもならないので、元々好きだったお酒関連の、その中でもあまり知見の無いビール業界に注目しました。そこで見つけたのが宮崎ひでじビールさんでした。アルバイトとして入社後も、自分が一番知らない、ビールについてのことをたくさん知れてとても楽しかったです。
ーそこからが下積み時代の始まりですか?
吉田さん:そういうことになります。アルバイト、契約社員から正社員に至るまで3年ほどかかりました。その期間はタンクのメンテナンスや瓶詰めなどの作業を行わせて貰いました。会社自体、比較的若い人が多く、コツコツと頑張っていればレシピをいつか書かせてもらえるという雰囲気があったので頑張れました。
ーそうして、三年目でついに、ご自身でレシピを書かせてもらえることになったということですか?
吉田さん:はいそうです。ここまでで4年半ほどかかっています。業界的には、10年経ってもレシピを書かせないところや、入社後すぐにレシピを書かせてもらえるブルワリーさんもあるらしく、どこもまちまちなのであまり早い遅いという感覚は無いですね。
ーなるほどです。率直に、今の吉田さんの過去のエピソードを伺うと、とても長い年月がこのへベすベルジャンには費やされていると感じました。いざ完成した時はとても嬉しかったのではないですか?
吉田さん:もちろん嬉しかったのですが、先に来たのは安心感でした。自分はアルバイトからこの会社に入って、3年目にして初めてレシピを書かせてもらった上に、へべすは流通量も少なく、なかなか使えない柑橘だったため、自分としては今回のビールは挑戦の一本となっています。なので完成した時は、とにかく、へベすとホップのバランスが取れた、自分の思うような飲みやすいビールができてホッとしましたね。
ー吉田さんの思っていた通りのビールができて本当に良かったです。完成したビールを飲んだ方からはどんな反応をもらえましたか?
吉田さん:上司や同僚から、「あ、大丈夫そうだね」「お、いいね」という反応がもらえて、再び安心しました。必死に造っていた分、緊張していたんだなと。
まだ販売開始していないので、今回ふたりのみのセットを購入されたお客様からの反応はとても楽しみです。
クラフトビールの入り口に 「日向へべすのベルジャンエール」
ー「日向へべすのベルジャンエール」を完成させた後、ご自身の心境の変化などはありましたか?
吉田さん:自分の中に、宮崎ひでじビールの「宮崎をひろめたい」という思いが、意外にもかなり染み付いているということがわかり、一層それに貢献していきたいなと思えました。旅行しているときやご飯を食べている時でも、宮崎特有の素材を目の当たりにすると「この素材はビールに使えるかな?」と考えますね。お酒がとても好きなこともあり、今ではずっとお酒のことばかりになっています。
ー「日向へべすのベルジャンエール」にも「宮崎をひろめたい」という思いがこもっているということですね。
吉田さん:おっしゃる通りです。へべすもそうなのですが、宮崎特有の素材を使ってビールを造り、それを飲んでくださった方が、そのビールや素材のことに興味を持ってくだされば、宮崎のことにも触れてくださるようになるかなと、そう思っています。
ー私もへべすという素材を知らなかったので、今回のインタビューで興味を持てました。
吉田さん:嬉しいです!先ほども触れたように、へべすは他の柑橘に比べてえぐみが少なく、酸味と甘味のバランスがとてもいいため、宮崎ではカボスやすだちと同じように料理などによく使用されています。
ーありがとうございます。最後になりますが、今回の新人ブルワー応援セットを購入してくださる方に向けて何かメッセージはありますか?
吉田さん:はい。「日向へべすのベルジャンエール」をクラフトビールの入り口として飲んでもらい、そうしてクラフトビールのことや、宮崎ひでじビールのこと、そして宮崎のことをもっとたくさん知って欲しいです!
今回ご紹介した、新人ブルワーの吉田さん。彼の思いがたっぷり詰まった新発売の「日向へべすのベルジャンエール」は、現在発売中の新人ブルワー応援セットに厳選されています。お求めの際はぜひお早めにご検討ください。
詳細は下記リンクにて!
https://note.com/futarinomi/n/n6ef623df1815
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