飲む人の空間までをも魅了する 8Peaks BREWING『メタウィートエール』
お酒と、空間と。
酒を飲む空間には、いつもストーリーがある。気の合う仲間とゲレンデで騒ぎながら飲んだ酒は格別の美味しさだったし、退屈な上司の説教を聞きながら飲んだ酒はまずかったし、憧れの人と初めて飲んだ時の酒の味は、正直覚えていない。
日頃からアルコールをこよなく愛し、アルコールに親しみ、時には二日酔いという地獄とも付き合いを深めている皆さんならよくご存知だろう。
酒の味は、空間、そしてそこにあるストーリーによって変わるということを。
環境にフィットして生まれた『8Peaks BREWING』
山梨県と長野県に跨る山塊・八ヶ岳山麓にある長野県茅野市(ちの市)のクラフトビールブランド 8Peaks BREWING。2018年11月にクラフトビールの製造を開始したマイクロブルワリーだ。
「ここのビールを飲むために八ヶ岳に来たといわれるような存在になる」をコンセプトに掲げ、八ヶ岳のある諏訪地域の食や自然に合うビールの製造にこだわっている。
海が無く、周囲が山に囲まれている諏訪地域。冬場の寒さが特に厳しく、古来より味噌などの発酵食品や、シカやイノシシなどの野生鳥獣の肉が盛んに食されてきた。これら地域と人々が醸成した食文化に寄り添ったクラフトビール、それが、 8Peaks BREWINGが生み出すビールなのだ。
くどくなく、淡くすっきりとした味わいの中に、わずかな苦み。香り高く食事に合うビールは、何気ない日常の中でふと思い出され、そしてまた飲みたくなる。
地域への思いの詰まった『メタウィートエール』
中でも、今回お届けしている「メタウィートエール」は、小麦麦芽を約50%使用している逸品だ。フルーティなやわらかいエステル香と爽やかなキレが特徴。柑橘類を思わせる酸味の後には、ふくよかな小麦の甘みが広がり、最後はキリリとした清涼感がやってくる。すっきりとした味わいは、食欲を刺激してくれる。
小麦麦芽由来の軽快な味わいと香りは、そこにある料理をさらに引き立てることだろう。鶏肉料理やチーズなどに合わせると、美味しさをより感じられるはずだ。
さらに注目してほしいのが、その名称。「メタウィートエール」の “めた”とは、諏訪地域の方言で「すごく」や「どんどん」という意味の言葉。さらに、ラベルは八ヶ岳の稜線の形にカットされており、地域への思いを端々から感じられる。
ビールが彩る、それぞれのストーリー
そんな8Peaks BREWINGが何よりも大切にしていること、それはビールのある生活スタイルを提案すること。ビールは決して目的ではなく、ビールを手にした人がその空間、その瞬間をより良いものへと昇華する手段にすぎない。
飲む人、飲む場所それぞれにあるストーリー。それは楽しいものであり、美しいものである。もしかしたら悲しいものかもしれない。
そんな一人ひとりのストーリーのそばにありたいと願うのが、8Peaks BREWING。
いつどこで誰と飲むかにまで思いを馳せながら
あなたが8Peaks BREWINGのビールを口にするとき、ぜひ思い浮かべてほしいことがある。それは、あなたのビールとの時間が最高のひとときとなるようにと込められた、8Peaks BREWINGの思いである。
数多あるクラフトビール醸造所のなかで、ビールの味にこだわれど、「いつどこで誰と飲むか」にまで思いを馳せながらクラフトビールを造っているブルワリーは多くない。
美味しいお酒は、それだけでは成立しない。美味しいお酒のそばには、必ず、お酒がおいしくなる空間がある。
空間がビールを最高の一杯にして、そのビールが空間をまた盛り上げる。そうやってビールは空間を魅了し、空間はビールを引き立て、記憶に残る一杯を作りあげる。だから8peaksのクラフトビールは、飲まれて初めて完成するのだ。
今宵、あなたが手にするビールのそばにあるストーリーは一体どんなものだろうか。ほんの少し、あなただけのストーリーに思いを馳せてみてはいかがだろう。
文 : フジタ マナ