俳人 夏石番矢はすごい!
俳句は17音の世界ゆえ、どうしても類想類句(似たような句)が多くなってしまうというのは素人でもよく聞く話である。そんな中で、「プロの俳人」と呼ばれる人たちは一体どんな句を詠んでいるのだろうか。今回は「世界俳句」などのコンセプトで知られる夏石番矢(1955-)さんの句の中で、私が特にびっくりしたものをいくつか紹介する。
ーーーーー
すなあらし私の頭は無数の斜面
山脈に耳あり夜の石つぶて
かごめかごめSusaから須佐へ睡魔発つ
のちの世の杖衝坂の無月かな
一月やパトリオットは豚の華
なぎの葉を未来のイヴの手のひらに
千年一呼吸の小石灼ける石
真南風漢那平松美童心
六種道MONKEY FOREST IN BALI
フンコロガシの引田天功的消去
のどちんこで割箸折った男の墓よ
マドンナ・ミチコがくぐりしアーチのむこうは肉屋
あの冬のミノタウロスは中上健次
ーーーーー
すごすぎて言葉が出ないとはこのことである。これだけすごければ、類想類句も作りようがない。やはり俳人というものはとてつもないということがわかった。