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"No"で実はチャンスを逃しているのかもしれない

*だいぶ前に書いて投稿できていなかった記事です

私は体育会系部活の出身だ。
(マネージャーではあるが)

部活はチームスポーツなのだが、
毎年決まった時期に開催されるOB戦は、
教授レベルとか引退間近の先生まで、
OBチームができるほど人数が集まり、
現役と試合した後で、夜は飲み会という流れがお決まりだった。

下級生の頃はこの行事が嫌だった。
だって、試合で走り回って汗だくになって、
(マネージャーとはいっても!)
ヘロヘロなところ急いで家に帰って
シャワー浴びてスーツ着て、
夜にはおじさん達の間に座って、
場合によっては夜中3時くらいまでお酌をしないといけない。

話を聞くだけで嫌でしょう?笑

やっと自分もOGになって、
しかも卒業してからすでに7年が経つので、
他の若手のOB・OGに会えるのを楽しみに
そして何よりもOB戦で気楽に過ごせるのを楽しみに
コロナ禍が明けて久しぶりに行われたOB戦に出席してきた。

いつもは還暦近くの先生まで幅広く来るので
どんなもんかと少し緊張していたが、
蓋を開けてみると、
しばらくOB戦が開催されていなかった影響で、
連絡がなぁなぁになっていたこともあり、
年次が上の先生ほど出席率が悪かった。
(私がかなり上の方になるくらい…)

試合も楽しんだ後、着替えて飲み会の会場へ向かう。
飲み会の席では1人だけ自分たちの世代よりもだいぶ上の年次の先生がいらした。
円卓で席が年次順であったこともあり、
私はその先生と同席になった。

先ほど、おじさんへのお酌を愚痴った私だが、
この先生は学生時代からスマートで穏やかで、
席につくならこの先生のところ!といつも思っていた。

乾杯の挨拶はいつもなら顧問の先生なのだが、
ちょうど不在だったのでその先生になった。

「外科の⚪︎⚪︎です。今は⚪︎⚪︎病院で副院長をしています。今日は私世代以上のOBが全然いませんが、せっかくなので⚪︎⚪︎大学OBが活躍していることをみんなに報告しますね。………」

先生は部活のOBの先生達が大勢、大学地域の総合病院の院長や副院長などになって頑張っていることを話した。

「そう、こうやってOBもみんな頑張ってるから、現役のみんなもぜひがんばってください。それでは、乾杯!」

私は単純に、うちの部活のOBの先生がそんな大勢病院のトップになっているのまじすげぇと感動しながら、やっぱうちの部活外科系ばっかだけど、昔は外科ばかりだったのに今は整形が逆転してんだなぁ、時代だなと思っていた。

挨拶を終えて、先生が席に戻ってきた。

私はどんな話を切り出そうか迷った挙げ句、
「副院長って大変ですか?」
というアホみたいな質問をしてしまった。

先生は、
「大変だよ〜、たくさん書類に目を通して書いたり、挨拶回りだとかね。最近は手術室に半分もいけてない。まぁ若手がだいぶ育って任せられるようになったから心配はしてないんだけど、事務仕事が嫌になったら手術室に逃げ込んでいるよ」
と茶目っ気たっぷりに話された。
「気づいたら色々な仕事が降ってきてね。自分からやりたいと言ったわけではないけど。でも、僕達は昔から『はい』か『Yes』しかないんだよね。頼まれたら『はい』か『Yes』で答える。その繰り返し。そうしたらここまできたんだよ」

時折ジョークも交えながら話す先生。
事務仕事が嫌で手術室に逃げ込むなんて、私には信じられない。
私なら家に帰る。笑
よほど手術が好きなんだろうなと思いつつ、
先生の”『はい』か『Yes』しかない”という言葉、
きっとなんてことない軽い気持ちで発した言葉が妙に刺さる。

部活のカラーなのかもしれないが、
そういえば自分が下級生の頃、
上級生の言葉は絶対だったし、Noなんてありえなかった。
たぶん私よりもっと前の先生ならば、よりその色が強いのだろう。

以前の自分なら「パワハラ」という言葉が頭によぎる。
でも、この先生が話すのを聞くと、
なんか違う聞こえ方がする。

よく、日本人は『No』と言えない民族だと言われる。
でもここ最近は、その流れが変わってきていて、
自己主張・意思表示を大切にする風潮になってきている気がする。

もちろんその流れがだめな訳では無い。

でも、先生の話を聞いていたら、自分が『No』ということで逃しているチャンスは意外と多いのかもしれないと思ってしまった。

実際、上の世代の『はい』か『Yes』しか許されない世代の先生方が重要な役職についていることは多いんじゃなかろうか?

たぶん、その先生たちも嫌だと思うこともあるんだろう。
『はい』か『Yes』で受けた仕事の中には、きっと無駄なものもたくさん含まれているはずだ。
でも、成功において重要なものもその中には入っている。

『No』の使いどころを吟味しながら、
飛躍のための『Yes』を掴みたいものだ。


ちなみに、飲み会では仕事の話がメインで、自分のことも聞かれたので、私は大先生には少し遠慮した気持ちで、「私、実は来年転職するつもりなんです。正直、今の働き方はきつくて、育児をもっとやりたいなって思ってしまって」と言うと、その先生は、
「そうか、そうだよなぁ。子供可愛いよね。大変だと思うけど、無理せず頑張ってね」と優しく微笑みながらエールをくれた。

先生としては思うところがあったかもしれない。
それでも面と向かって嫌味を言うこともなく
素直に応援してくれたことがすごく嬉しかった。

私も自分のフィールドで頑張ろう、ベストを尽くそう、そう思えた出来事でした。




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