第3話 『勇気の石』
「『ゆうき の いし』よ。ベルクを助けて!」
右のポケットから石をだしてお願いしました。
「たすけてくださーい! たすけてくださーい!」
とっても大きな声です。ヴィントの声に。
「ぼくどうしたの?」
男の人が気がついてくれたんです。
「おとうとがお池におちてしまったの。ブーリャをたすけたの!」
男の人はヴィントの話に少しどまどいました。でもビショビショで助けてと叫ぶヴィントに何かがあったと分かってくれたみたい。
「よし来た! おれの方が早く走れるから、ぼくを抱っこして池に連れていってあげるよ」
ヴィントを抱っこして池に向かって走り出しました。
後ろから。
「おれはその子のパパとママを知っているよ。パパとママを呼んで来てやるからな!」
声が聞こえました。
その頃ルーナは……
「ベルクがんばって」
瞳に涙を浮かべてベルクを 励ましていました。
ルーナはパパからもらった『勇気の石』を思いだしました。
「ベルクをたすけて……」
するといつもは恥ずかしがり屋のルーナですが、何だか勇気が沸いて来て。
「だれかたすけてー!」
って。叫んでいたんです。
「ルーナ! ベルク!」
お兄ちゃんが戻ってきてくれたのがうれしくて。男の人もです。
「おにいちゃあん」
「任せろ! 頑張れボウヤ!』
男の人はベルクを助け出してくれました。
「「ベルク! ベルク! しっかりしてよう……」」
お池の外で、ヴィントとルーナはベルクを抱き締めて泣き出しそうです。
「クゥンクゥン」
ブーリャは泣いています。ベルクに起きてとお顔をペロペロ……
「ヴィント! ルーナ! ベルク!」
「「パパ! ママ!」」
パパとママが来てくれたんです。
「パパぁママぁ」
お兄ちゃんだもん。
って、泣くのを我慢していたヴィントは安心したのか泣いてしまいました。
「パパ……ママ……」
ルーナも安心して。だんだんと涙が溢れて来て……
「ヴィント、ルーナ。頑張ったわね。お兄ちゃんたちありがとう。ベルクを守ってくれて」
ママが抱き締めてくれて。
「うわーん!」
ママに抱き付いて大きな声で泣きました。