第5話「おやすみ」
-子供部屋-
-ガチャ-
みんなで『おやすみなさい』をして少したってからね。パパとママが、ヴィントとルーナとベルクとブーリャの様子を見に来たの。
パパは、 泣いているママの右肩に『大丈夫』というように、力強い左腕を回して支えています。
「可愛いお顔して眠っているわ」
ママが安心したように、微笑みながら呟くと。
「ああ、 手をつないで眠っているね」
パパも、微笑みました。
ママは、ヴィントとルーナとベルクとブーリャの前では、明るい顔をして笑っていたんですね。
いつもはね、まだちっちゃなベルクが 落っこちたりしないように、手すりのついた小さな可愛らしいベッドで眠っているの。
でも、今日は大好きなお兄ちゃん達。ヴィントとルーナのベッドに川の字になって一緒に眠る事にしたみたい。
ブーリャは、 3人の足元に丸まって気持ちよさそうに眠っています。
真ん中に眠っている、ベルクのえくぼの可愛らしい、ちっちゃなプニプニした左手を。
ますます頼もくなったヴィントの、プニプニした右手が『守る』ように握っています。
ベルクの右手はね。
少し強くなったルーナのプニプニした左手が『守る』ように握っていました。
「ルーナとベルクが、ベッドから落ちないように『守る』ために、ヴィントは 一番端っこに眠っているのね」
ってママ。
「ヴィントとベルクが、壁にぶつからないように『守る』ために、ルーナは壁側に眠っているんだな」
ってパパ。
「ヴィントが床に落ちないように。ルーナが壁にぶつからないように。ベルクは引っ張って『助ける』ために、真ん中でギュってお手々を握ってるのね」
「ブーリャは、ヴィントとルーナとベルクを『見守って』くれてるんだな。3人が危ない時は、ワンワンて鳴いて教えてくれる」
「「愛しい可愛い子達……」」
チュっ。
「おやすみ」
パパは、ヴィントとルーナとベルクの、可愛らしいプニプニな右のほっぺたにキスをしました。ブーリャの綺麗なシルバーグレーの髪に覆われた、まぁるいほっぺたにもね、キスを送りました。
チュっ。
「おやすみ」
ママも、ヴィントとルーナとベルクの、可愛らしいプニプニな左のほっぺたにキスをしました。ブーリャの可愛いらしい、まぁるい黒い鼻先にもね、キスを送りました。
ニコっ。
何か、楽しい夢でも見てるのかしらね?
ヴィントとルーナとベルクがニコっと微笑みました。
クゥン。
ブーリャも楽しそうな声音で小さく鳴きました。
「おやすみ」
もう一度、パパとママは『おやすみ』を言うと安心したように、仲良く手をつないで子供達の部屋を後にしました。
~終わり~