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国道26号線を走りながらカーステレオで聴いたトニー・ジョー・ホワイト

勿論そんなことは誰もが知っているし言っていることなので、取り立てて強調するほどのことではないけど、この「For Ol' Time Sake」が納められたトニー・ジョー・ホワイトの6枚目のアルバム『Homemade Ice Cream』はとてもいい。多分これは心斎橋のどこかの中古レコード屋で手に入れた。

手に入れたのはおそらく80年代後半で、この手の音楽はまだまだアナログ盤でしか聴けなかったんじゃないかな。Tony Joe Whiteの初期Monument時代のアルバムは3枚とも当時からプレミアがついてた。多分当時プレスされた後、再発されていなかったのではないかな。1stアルバムの『Black And White』は、エルヴィスがカバーした「Pork Salad Annie」が入っていたし、多分結構売れたと思うから、時々見かけたけど、2枚目と3枚目は高かった。

今でも覚えているけど、2枚目は関大前のSloppy Joeというレコード屋で手に入れて、3枚目は梅田第3ビルの地下にあった中古レコード屋で手に入れた。3枚目は5,000円を越えていたはずで、今でも私が買ったレコードの中では一番高かった。だって他に聴く手段がなかったんだもの。

そんな中でこの『Homemade Ice Cream』は再発もされていたので、比較的簡単に手に入れることができた。これより前の5枚も甲乙つけ難く全部好きなんだけど、このアルバムの音もとても素敵。

このアルバムはカセットテープに録音して、車の中で、特に尼崎から和歌山へ向かう道路を走らせながらよく聴いた。当時は高速道路が完全に繋がっていなくて、堺の少し先で高速を降りて、しばらく国道26号線の「下道(したみち)」を走り、泉佐野あたりからまた高速になる感じだった。夜になると湾岸の工場地帯の無機質にライトアップされた光景が、SF映画みたいな感じだった。

当時の車は今の車ほど静かではなかったから、高速に乗ったら音楽なんてかなりボリュームを上げなきゃ聞こえなかった。高速を降りて、下道を走り、信号で止まった時に、ふと呟くようにバラードを歌うトニー・ジョーの声が聞こえてきて。それで少し深呼吸をして、とても救われた気持ちになった記憶がある。ほんのちょっとしたことかもしれないけど、自分を救ってくれた歌のことは、忘れないよね。

それから随分と時が流れて2007年、生でトニー・ジョー・ホワイトのステージを観ることができた。渋谷のクラブクアトロだったかな。彼はとても大きくて、黒いサングラスをかけて、客席をビシッと指差したあと、ギターを抱えて、まさに、まさに、あの音を出してくれた。あの声で歌ってくれた。このライブの光景はとても鮮烈に今でも残っている。トニー・ジョーがリクエストを募って、誰かが「アスペン・コロラド!」って叫んで、自分も、あー、いいねー、って思ったりした瞬間とかね。

会場でリクオ(すっごい素敵でご機嫌な関西出身のピアノマン。みんな聴いてね)と会って、ライブの後BYGへ行って飲みながら「よかったねー」って話しをしたことも思い出す。「ベース、おらんでも、ものすごいビートやったな」って。ほんと、強烈だった。

そのトニー・ジョーももういなくなってしまった。このライブの後もとても素敵なアルバムを出してくれていた。ブルー・アイド・ソウルとか、スワンプとか、そういう言葉に還元しきれない圧倒的に貴重で唯一無二の彼の音、彼の声、彼のギター。これからも聴き続けるんだろうな。

Tony Joe White

エルヴィス・プレスリーもカバーしてます

Before you go walk out on me
Take a look around tell me what you see
Here I stand like an open book
Is there something here you might have overlooked
'Cause it would be a shame if you leave
And find that freedom ain't what you thought it would be

The years we had were not all bad
In fact I know the good outweighed the bad
But now you say that you've grown tired
You want to be by yourself a while
But it would be a shame if you go
And find that freedom was a long time ago

I know that you can't stand the chains that bind you
They just keep on drivin' us apart
And you could go where I would never find you
But you go far enough to get away from your heart

So one more time, for ol' times sake
Come and lay your head upon my chest
Please don't throw this moment away
We can forget the bad and take the best
But if you don't have nothing left to say
Let me hold you one more time for ol' times sake

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