より道
今夜はちょっとだけ
より道
何となく
まっすぐ家に帰りたくない
そんな夜
川沿いの船着場に腰掛けて
とろんと波に揺れる
夜の光たちを眺める
緑、赤、オレンジ、ピンク、青
代わる代わるの信号と
橋の上を行き交う車たちに
色を変える水面
みえる星の光は
ひとつふたつだけれど
地上の光が
温かく輝やいている
道行く人は
飲みに行くのか、歌うのか
それともお腹をすかせてか
ガヤガヤとしながら
それぞれの店の中へと入っていく
開けられた戸からだろうか
美味しそうな匂いが
あたり一帯に立ち込めている
昼間とは違う世界が
そこに現れる
こんな夜は不思議と
寂しくはない