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またいつか

旅立ちの時は近づく

君と二人
幼い頃から何度も駆け上った
あの丘の上へのぼる

黄金色に暮れていく街

かすかに光がさす場所に
家が見えた

私たちを育てたこの街

ずっとここで
生きていくのだと思っていた

いつか私は
この街に戻ってくるのだろうか

その時まで
大切な人たちは生きているだろうか

色んなおもいが
胸の中を駆け巡っていた

君も同じなんだろう

別々の道を歩む日なんて
想像もしなかった

校内放送でよく流れたあの歌を
一緒に口ずさむ

ふっと、二人して笑う

故郷の空気をいっぱい
胸の中に吸いこんだ

私の明日に君はいない

静かな決意を胸に抱いて
それぞれの道へ

またいつか
ここに来ようね

転ばないように つまづかぬように
いつも手をひいてくれた人

ありがとう この空に
心が祈ってる

暮部拓哉「HANA」

写真 scoop kawamura様