雪の記憶に運ばれて
静かな夜だった
ベランダ側のカーテンをあけると、
ふわふわとした牡丹雪がゆっくりと
落ちていくのがみえた
冷たい窓をゆっくりと開けて
外に出ると、
ひんやりと冷たい
澄んだ空気に包まれた
背後から差し込む
部屋の明かりに照らされて
目の前の雪たちが白く輝いている
上を見上げると、
真っ暗な空から
無数の牡丹雪たちがゆっくりと
まっすぐに落ちてくる
こんな静かな雪の夜はじめてだった
大地に積もっていく雪たちが、
すべての音を吸収しているかのように
この街を真っ白の世界にかえてゆく
あなたもこの雪をみているだろうか
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あとがき
暑さが増してくると、
ふと寒かった季節を思い出す。
雪の思い出が、
気持ちを涼やかにしてくれる。
いつまでも、
この豊かな四季を失いたくない。
私たちの感受性の源は
生まれた土地の色、空気、自然のかたち
と繋がっているとおもう。