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揺らぎの至福

思い立ったが吉日

温泉に向かった

祝日だけれど、人はまばら

外の暑さと汗をまとった身体を
シャワーで流す

少しヌルヌルとした泉質で
唇についた雫がしょっぱい

掛け湯をして
湯船を見渡す

大きなガラスの向こうに
青空が広がっていた

この開放的な空間が好き

つま先からじんわりと
お湯の温かさが伝わる

どこから行こうかなと
思いながら

まずは、浮き湯に浮いてみた
手すりに手をかけて
枕に頭を置く

あとはそのまま
お湯に身をまかせる

ぼこぼこと背中にくる
お湯の塊が
背中をほぐしていく

肩甲骨のあたりがひらいて
気持ちがいい

ガラスごしの緑の木々が
青空にサワサワと揺れて
日常の喧騒から意識が
切り離されていく

次は泡風呂
ぶくぶくと身体中に泡がぶつかる
日頃忘れている
身体感覚を呼び起こしてくれる

見上げた空に、小さなピンクの花が咲いていた
あの花の名前はなんだったかな、と思いながら
手すりにつかまり目を閉じる

泡の音に包まれて
何もかもが遠ざかっていく

水風呂にも入ってみようか
ゆっくり足から順番に水に触れていく

温まった身体には
なんてことない冷たさだった

身体がぎゅーっとなっていく
ほぐされた背中が特に気持ちいい
水面に外の光だけが揺らめいていた

もう少し深くまでほぐれたい

サウナに入ると
熱が身体にまとわりついてくる

じわりじわりと
太陽の光を感じるように
熱が少しずつ広がっていく

代謝が落ちたかな?
以前のようにはすぐに暑くはならない
その分長く入っていられるのは
嬉しいけれど

もうひと巡りしてみると
身体が軽くなってきた

やっぱり週一くらいで来たいな

なんてことを思いながら、
なくした水分をゆっくりと
補っていく

お座敷でごろりんと横になって
広い空を見上げる
今日は雲の流れが早い

庭の緑が
9月の陽射しに透けている

昼ごはんは
何を食べようかなと考えながら
ぼんやりと午後を迎えた

ここまで読んでくださった方も
温泉、いかがですか?


写真 アッキー様