見出し画像

後ろ姿をみていた頃

お盆とお正月
特別な日にあなたを訪ねると

土間にある釜で
白いご飯とお味噌汁を炊いてくれた

白いご飯がつやつやと
立っていたのを思い出す

小さくしゃがんで
火吹竹で火の番をするあなた
燃える薪の匂い

その横顔と火をのぞいては、
あなたの後ろの板間に座って
その背中をみていたのを
今も覚えている

白い窓明かりに照らされた
あなたの作業場は、
今はもうない

記憶の中だけの特別な場所