赤間神宮の散歩とむかし話
昔むかしあるところに
平清盛の末の娘の
浄子という女がおりました
彼女はその身に家の
繁栄を守る使命を背負い、
祭政を行うある家の
「知恵の蔵」と呼ばれる男のもとへ嫁ぎました。
しかし、父が死に
姉の徳子とその息子、平家の一族は
都から追われる身になってしまいました
彼女の住む館で、
平家の一族を匿うことになりました
ある夜、彼女の旦那様に御神託が降ります
彼女の息子と、姉の息子を入れ替えよ、と
顔立ち似ていて歳も同じ従兄弟たち
彼女たちは、
それぞれの息子を入れ替えたのか
壇ノ浦に神器とともに沈んだのは、
彼女の息子だったのでしょうか
この国に数多残された、
平家の行く末の一つの物語
受け継いだ物語の語り部は、
ご健在のよう
かの一族の魂は今も
神のその懐に抱かれている