【美術館を味わう③】冬の静寂に感謝する、一月三日。/原美術館ARC(群馬県)
2022年初のnote。今年も月1本は書きたいのに、また月末にバタバタしている。もはや後15分で2月になってしまう。数日くらいは大目にみることにしよう。
訪れたきっかけ
お正月休みに、どこかに出掛けようということになり、せっかくなので、空いている美術館を探してみた。都内はいろいろあったけれど、どこも混んでそうだなあ、せっかくなのでもう少し郊外に行きたいなあと思っていたところで、原美術館ARCを発見した。
もともと気になっていたが、行くタイミングがなく、結局東京の原美術館にも行けずに終わってしまっていた。これがタイミングだ!と思い行ってみることになった。とても正解だったと思う。
入館~屋外展示
「牧場の隣」とホームページに書いてあったが、本当に隣でびっくりした。ひとりある広さの広場の真ん中に美術館の建物があり、そのまわりに屋外展示が不規則な位置に点在していた。ゆとりのある展示空間がとても好みだった。
三が日だからか、ほとんど人がいなかった。どの作品からみてもいいし、どれくらい時間をかけてみてもいい。写真だって納得いくまで撮れる。なんて素敵な時間なのだろう。「人がいない美術館」ほど贅沢なものはない。
展示で印象的だったのは、やはりオラファーエリアソンの作品だった。どうやら日本の美術館初の常設展示らしい。太陽光がレンズを通して、部屋の中に入ってくる。時間帯によって虹色のラインが描く線が変化する。長時間見ていたいし、何度も見てみたくなる。
東京都現代美術館の個展を見た際に、オラファーエリアソンは光にあまり宗教的な意味を見出さず、自然現象を1つのツールとして、実験的に使用する印象を受けた。原美術館の作品も、コンセプチュアルなもの、というより、一つの実験を見ている気分であった。
話が少し逸れるが、常設展示が良い美術館が、本当は一番良いと思う。ここにいけば必ずこの作品に会える、というのは特に近くに住んでいる人にとって、御守りのような存在になると思う。だから美術館の近くに住む、というのもやはり憧れである。
屋外展示はどれもよかったのだが、一番の存在感を放っていたのは、やはり美術館の建物そのものだったと思う。磯崎新さん設計の建物は、自然に馴染みながらも凛とした美しさがあり、冬の冷たい空気にとても似合っていた。
屋内展示
屋内展示も充実していた。奈良美智、草間彌生、宮島達男など錚々たる日本の現代アーティストの作品が、一つの館に詰め込まれている。展示空間はいい意味で飾り気のない、シンプルな作りだった。これだけ癖の強い作品を集めると、まあこうなるよなあ、と思った。見ごたえはとてもある。
カフェ
原美術館ARCにいったら、きっと多くの人はこのカフェに入りたくなると思う。それくらい、見るからに気持ちよさそうな場所にカフェはある。一通り展示を見た後で、カフェに入って温かいミルクティを飲んだ。このカフェも、やはり空いている。あれがよかった、もう一回戻ってあれがみたい、などゆったりと余韻を楽しむ。美術館に行った後の、楽しみの一つである。それにぴったりのカフェだった。(ゆったりしすぎて写真を撮り忘れてしまった。)
まとめ
新年の始まりに、冬の凛とした空気の中、寒い寒いといいながら、ゆったりとアートを巡る。人も少なかったので、どこか少し、お正月らしい、呑気さもあり、良い美術館初めだった。
今年もたくさんの美術館を味わえるといいな、と思った。