東カレデートでなんちゃってパイロットとデートした話
愛宕のおじさんで安心しきった私はローリングデート作戦を執行。土日連続で予定を入れたり、冬の間に彼氏を作ろうと躍起になっていた。
2人目にデートしたのは37歳なんちゃってパイロット。
プロフィール写真がパイロットの制服で、職業欄に「会社員」となっていて、てっきりパイロットだと思い込む。LINEの交換もして、アイコンもパイロットの制服。
職場では決してパイロットと恋愛をする事はないけれど、他社の方なら話を聞いてみたいと言う好奇心だった。
当時の私の悪い所はプロフィール写真で判断してしまい、職業や身長など言及されていない情報に対してあまり不信感を抱かない所だった。ついでに言うと、なんちゃっては「男性が全て払う」を選んでいなかった。(選択していない項目は表示されないトリック)
つまり結論から言うと、彼はパイロットでもなければ身長も低く「○○円で良いよ」男であった。
その日は1月の寒い日だった。19時にお店を予約してくれたので18時45分に恵比寿西口で待ち合わせをする。
「おとうふちゃん?」と現れたのは、私と同じか少し高い位の身長で写真よりも髪が薄いリュックを背負った男性だった。
あれ?小さい…。
第一印象がそれだった。
気を取り直してお店へ向かう。雑居ビルに入っている沖縄料理屋だった。パイロットじゃない?と疑い始める。(現地で美味しい沖縄料理を知っているパイロットは東京でわざわざ沖縄料理をチョイスしない)
ハッピーアワーの時間だから最初の2杯位は半額だった。彼は私の2倍位のペースで泡盛をどんどん飲んで行く。CAに関する質問の内容からして、全く航空業界ではない様子。確かに、彼はメッセージ交換から今に至るまでパイロットであるとは一言も言っていない。それ故に私が写真を見て決め付けただけなので、「パイロットじゃないんですね?」とは失礼で言えない。
気を取り直してその場を楽しもうと切り替える。そろそろお会計しましょうかとなり、彼が伝票を貰う。
私は会計の時に世界一面倒くさいなと思う一言がある。それは「いくらだと思う?」だ。当てたらピタリ賞で奢ってくれるのだろうか、はたまた実際の金額より安く言ったら常識がないと判断されるのか、高く言ったら実際より多目に払わなくてはならないのか。それを聞く男性心理が理解出来ない。
そして、なんちゃっては言った。
「いくらだと思う?」
「う〜ん…結構(貴方が)飲んだので1万ちょっとですか?」
「1万2千円でしたぁ〜。」
(面倒くさっ。そして沖縄料理のくせに高っ…)「あ、これハッピーアワーの値段になってないですね。すいませ〜ん!」
と、お店の方に説明して少しお安くなりました。
そして、なんちゃっては言った。
「3,000円で良いよ。」
「あ、ありがとうございます。」
食べた量、飲んだ量からしても妥当だがちょっと多く出した事で奢った感出すのは辞めて欲しい。
気を取り直して2軒目に向かう。(この日は何度も気を取り直さないとやって行けない日であった。)
なんちゃっては言った
「恵比寿詳しくないんだよね〜。」
彼は東カレを辞めた方が良いと思った。適当に目に付いた入り易そうで安そうなバーに入る。
ワインでも飲みましょうかと、手頃な白ワインを頼む。
1軒目を出た時から感じていたのだが、なんちゃっては飲み過ぎている上に酒に呑まれている。背負っているリュックのジップは全開だし真っ直ぐ歩けていない。そしてバーのカウンターで飲んでいる際、わざと肘で胸を触って来た。2回目で我慢出来なくなり、
「それ辞めて貰えますか?お会計しましょうか。」
と言い放つ。
なんちゃっての顔から酔いが覚めるのが分かった。
「私大きいお金しかないんですけど…」
と伝えると
「大丈夫!俺にはさっきおとうふちゃんがくれた3,000円があるから!」
色々疲れて帰路に付く。お礼のLINEも必要ないのではないかと思うレベルだった。愛宕おじさんの有り難みが染みる。
後日、友人になんちゃってのプロフィールを見せたら
「あっ!これは某社の体験施設で制服着れるやつだよ(笑)前から着て後ろマジックテープになってるの。ほら、良く見ると首元Tシャツ見えちゃってる(笑)」
2人で爆笑した。プロフィールを良く見たら身長も書いてなかったし、お会計をどうするかも選んでいなかった。
加工し過ぎたプロフィール写真に釣られて、実際に現れた女の子が別人だったと嘆いている人を責められないなと思った。