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おとうふの一日

(✳︎ただの日記です)

とある晴れた火曜日。 

6時20分 

起床して姉に電話を掛ける。

 「起きれるか心配で眠れない」と弱音を吐く彼女を起こすべく、無駄に早起きをした。

 せっかく早起きしたのだから出掛けよう、と急に思い立ち上野の東京都美術館で開催されているフェルメール展に行く事に決めた。 

 外は快晴。キリッとした寒さではあるが空気が澄んでいて気持ちが良い。バスに乗って上野へ行き、西郷さんに挨拶をしつつ9時半開館に向けてずんずん歩いた。

9時20分

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10分前に着いたのに、入り口には長蛇の列。割とお一人様の婦人(わたしも含)か高齢アベックが多い印象だった。

音声ガイド600円もせっかくなので借りてみる。

地下→レンブラントや他のオランダ画家が描いた人物画

1階→フェルメール「窓辺で手紙を読む女」とその他オランダの画家が描いた風俗画

2階→そのオランダの画家が描いたオランダの自然溢れる風景画

こう言う構成って大体入り口とか1階が団子状態で混み合って全然見れなかったりして効率が悪い。

人によっては「これもフェルメールでしょ?」みたいな思い込みで全然違うおじさんが描いた自画像を一生懸命鑑賞したりしていた。

なのでレンブラントは後回しにして1階にあがりフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」をゆっくり鑑賞する。

絵画鑑賞は好きだけれどもそこまで詳しくはないので、その後全てのフロアを回って約1時間で退散する事にした。

17世紀のオランダは王族や貴族よりも平民が主役の明るくて平和な時代。

酒場とかおうちの壁にさり気なく飾って情緒が出る風俗画(一般人の生活を切り取ったシーンの絵)や素朴な風景画やフルーツや花の絵なんかが有名だったそう。

だからこの展覧会は全体的に地味なのは納得の雰囲気。でもフェルメールの修復後の絵が生で観れて良かった。好みかどうかと言われたら、修復前の方が好きだけど…。その話はまた今度。

ちなみに「真珠の耳飾りの少女」はフェルメールの中でも一番好きで、私のnoteのアイコンの振り向き具合は彼女を参考にしている。


10時33分

バンクシーも皮肉っているが、「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」の言葉通り最後はお土産コーナーを通らないと帰れない動線に作られている。芸術に搾取されるのだ。「絶対に余計な物は買わないぞ」と心に決めながら通り過ぎる予定だった。予定だったのだが、気付いたらミッフィーなんぞ買っていた…。

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「窓辺で手紙を読むミッフィー」

…なんて可愛いんだ。仕方ない。36歳独身女が買うには痛々しいが、フェルメールを見た記念に連れて帰ろう。

11時30分

美術館を出て少し散歩をした。上野動物園は閉館中だった。桜の木の蕾はまだまだ堅そうだった。

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日向ぼっこをしながらベンチに座りnoteの記事を読みながらボーっとすごしていると、30分以上経っていた事に気付く。

そろそろお腹が空いたのでランチは何にしようかと思案する。17世紀の優雅な雰囲気を引きずっているので、洋食屋さん「キッチンさくらい」でデミグラスソースのオムライスに赤ワインなんぞ飲もうかと目論む。オムライスはハーフにしてタンシチューも食べちゃおうかなぁ〜と考えて歩いているうちに上野の雑多な通りに出た。

公園と上野アメ横周辺の雰囲気のギャップがあり過ぎる。昼から路上飲みをするおじさま達を見たら、優雅な気分は一気に去ってしまった。

12時10分

すっかり優雅な気分はなくなってしまい、気付いたら「まぐろ人」と言う立ち喰い寿司に吸い寄せられる様に入っていた。コートを脱ぐ前に「生とすみイカを塩で下さい」と頼んでいた。

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生×2

熱燗×3

握り 16貫

を頂いた。

私は酔うと隣に絡むと言う悪い癖があるので、なるべく我慢するのだけど、右のおじさんが「海老と鯛頂戴!」と言った時は「海老で鯛を釣るってやつですね〜」と言う台詞がベロの先まで出ていたが我慢した。

私が芽ねぎを頼んだ時、左のおじさんが「あ、芽ねぎ良いなぁ。俺にも芽ねぎ!」と頼んだ時は、かまってのサインですよね?と察して「芽ねぎさっぱりして良いですよね〜」と絡み出してしまった。

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けれど寿司をダラダラと食べるのは粋じゃないと考える上野の江戸っ子達は回転率が早く、私の左右は三回転位していた。

熱燗3合チビチビ飲む、ミッフィーを持ったアラフォーとか怖過ぎるか…。

13時40分

1時間半居座りやっと帰るアラフォー。

やっぱりオランダの優雅な気持ちを引きずって帰りたいと思い直し、お花屋さんで黄色いチューリップを購入した。

松坂屋でヴィタメールのマカダミアチョコを買って、酔いを覚ますために徒歩で帰る。

15時00分

黄色いチューリップを飾って、紅茶を飲みながらチョコを食べてフェルメールに関する映画やらYouTubeを観る。

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16時30分

翌日は3時起きなので早目に寝支度をする為にお風呂に入る。バスソルトなんぞ入れて全身浴をしながらお酒を抜く。

18時00分

お風呂からあがりスキンケアをし、髪を乾かしてストレッチをする。

もうやる事がないので湯たんぽを入れてお布団に入る。

19時00分

寝落ちする。

23時00分

急に目が覚めて眠れなくなる。

3時00分

結局眠れなくて絶望したまま起床、出勤…


「なんか楽しそうだよね」と言われがちな私の生活。

「一人で生きて行けそうだよね」と言われがちな私の人生。

そんな訳でもないのよ。

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