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あきこ✖️璃斗【ヴァンパイアバディー】

【亜子】あきこ⭐︎すたーらいと
病弱な花嫁。守護神「りと」様に嫁いだ。

【璃斗】御厨璃斗
吸血鬼。日本の村で守護神をしている。
三年の間花嫁から血を吸う。

【ナレーション】おとぼけ姉さん

〜.*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚〜

(しゃらんと鈴の音色が響き渡る)
(和風のBGM)

【璃斗】
「…君が今回の花嫁かい?」

【亜子】
「はい、村の守護神・りと様…。
山下の太郎の長女。亜子と申します。
不束者ですが、どうぞよしなに…」

【璃斗】
「…亜子。生け贄として三年、僕の花嫁になってもらうよ…。いいかい?」

【亜子】
「はい。喜んで。りと様…!」

【ナレーション】
その村には吸血鬼が住んでおりました。

日本に昔から住んでる吸血鬼「りと」は、その村では 村の守護神として崇め奉られ、

村の若い娘は村の掟で、三年の年月を守護神「りと」の花嫁として過ごし、

毎夜ごとに花嫁は守護神「りと」に血を捧げ、

その見返りに、守護神「りと」は村に降りかかるさまざまな厄災から、身を挺して村を守り、

そして、三年の年月の後、花嫁は離縁され、次の若い娘が、新たな花嫁になるという、古くからの掟がございます。

けれども、

今回の花嫁、亜子は生まれつき病気がちな娘…。
毎夜の吸血が難しい日もございました…。

【璃斗】
「大丈夫か?亜子…」

【亜子】
「コホッ、ケホ…、はぁはぁ。
りと様、お気遣いありがとうございます。
わたくしは大丈夫です。
今夜の分の吸血ですよね?
はい…どうぞ」

【ナレーション】
そう言って亜子は着物の襟をはだけ、吸いやすいように首を晒します。

【璃斗】
「…いや、今夜はいい…。
ゆっくり休め。亜子」

【亜子】
「え…?ですが…」

【璃斗】
「一晩吸わないくらいで、僕は死にはしない。義務感だけで必要以上に自らを犠牲にするな」

【亜子】
「いえ、義務感もありますが、それだけではございません」

【璃斗】
「?」

【亜子】
「わたくしは、りと様を心から尊敬してます。わたくしの血が、りと様のお役に立てるのが、毎回とても嬉しいのです」

【璃斗】
「…亜子…」

【亜子】
「りと様…」

【璃斗】
「わかった。
明日の夜、君の血をいただく。
だから、今夜はゆっくり身体を休めてくれ」

【亜子】
「はい」

【ナレーション】
三年間だけの花嫁という掟、
ですがふたりは、互いを慕い、想い、愛し合い…、そして…三年の年月が流れました。

離縁の時が迫るなか、亜子の病状が思わしくなく、

亜子はある夜、「りと」に言いました。

【亜子】
「りと様…離縁の前に、残り少ないわたくしの命…、わたくしの血を一滴残らず吸ってください。
りと様に血を捧げて死ねるなら、本望です…。
そうすることで、わたくしはずっと、これから先も、あなた様に寄り添うことが出来ましょう」

【璃斗】
「亜子…!
そんなことは出来ない…っ!
むしろ…、むしろ僕は、生きている君にずっと隣に居てほしい!!」

【亜子】
「りと様…!(泣き)愛しております…!
わたくしも叶うなら、いつまでも、あなた様と…一緒にいたい…っ!!」

【璃斗】
「亜子…っ!!」

【ナレーション】
りとは覚悟決めました。
ある嵐の夜、病床の亜子に吸血鬼にする魔術をかけます。

【璃斗】
「俺の血を飲め…亜子!」

【亜子】
「いやです。りと様に噛み付くなんてできません」

【璃斗】
「構わない!この命、亜子に捧ぐ!!」

【亜子】
「あぁ、りと様!!…ごくり、
くあっ!!(がぶりと噛み付く音)」

【ナレーション】
その後、二人は不老不死の吸血鬼になり、守護神として、永遠にその村を守り続けましたとさ。
めでたし、めでたし。

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