何故に、そこに2
話はとんで自分のお店のこと。
路地裏のなかなかディープな夜のネオン街。そこに昼間メインの商売をわざわざ持ってきたのは
もともとはそこが祖母のお店があったからだ。躾に厳しく恐ろしい祖母。
祖母の存命時はうるさくて怖くて、周りのお婆ちゃんとなんでこうも違うの?と思ったけれど
お陰様で客商売という事につけては本当にゼロからみっちりと、生活の中で教えてもらった。商売人だからこその気配り、心配り、目配り。お金の遣い方。人との挨拶の仕方など。
建築の仕事を志していたけど、どうにも接客の仕事が自分は得意なのかも知れないと気づいたのは最近のこと。
そんな祖母が残したお店の一角で小さい、今の自分に見合ったお店が出来ているのは本当にありがたい事だ。
路面のお店、人通りの多いお店もちろん羨ましいけれど
なんでここなん?看板の名前違うやん!というヘンテコなお店が私はお気に入りです。
集客力はゼロだけどなんか古くて懐かしい空間に毎日背中を押されるというか、
祖母の厳しい視線が注がれているような、守られているよな気もして居心地がいいのです。
古い時代に取り残されたようなネオン街でお弁当屋をする。冗談みたいな事を真面目にしてみる。
やっと一歩、足を出したところです。