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 最近は環境配慮やウェルネスの観点から、構造や内装に木を用いた建築が増えています。設計者の方から
「木を仕上げとして見せたいので、壁や天井に吸音材を貼りたくないのだが、どうしたらよいか」
という相談をよく受けるようになりました。
 中には、
「木は吸音するから吸音材は要らないでしょ?」
「植物を何本か置けば吸音するよね?」
とおっしゃる方もいます。

 答えは”NO!”です。
 
 いろいろなメディアで「木は吸音材です」「木は綿と同じ多孔質なので吸音します」といった間違った情報を見かけることもあるので、このような勘違いをされている方がいるのかもしれません。

木や植物は吸音しない

 木材そのものの吸音性能は低く、JISで定義されている「吸音材」ではありません。木という素材や表面のざらつきの音に対する効果は別観点からありますが、吸音の観点からは、残念ながら「吸音」の性能は低く、吸音性能は一般的な板材(石こうボード、MDF板等)と変わりません。
 また、植物も吸音性能はとても低いです。部屋の中に植物をたくさん置いても吸音はほとんど期待できず、響きを抑えたり、騒音を低減したりする効果は低いと言えます。

木で吸音するには?

 木の素材感を活かしたまま吸音性能も確保することは可能です。
 ただし、高い吸音性能を得ようとすると、少しコツが必要になります。例えば、木の板に孔やスリットを設けたり、リブ状に配置したりして、背後にグラスウールを設置すると、吸音性能の高い仕上げになります。木は強度が高いため、グラスウールなどの柔らかい吸音材のプロテクターとしてはとても良い材料です。

植物で吸音するには?

 植物そのものは吸音性能が期待できないのですが、植物を植えている土や植栽基盤(軽量土壌や登坂式の繊維など)は条件によっては吸音性能を持つことが知られています。


 情報が氾濫している時代ですが、正しい情報で、目にも耳にも快適な空間を作りましょう!
 





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