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父 1回目の手術

緊急搬送・入院3日目にして最初の手術。
今、身体の中に入っているペースメーカーを抜き出すこと、それを抜去というらしいが、抜去術が行われる。
とにかく血中の細菌が滞留しないように身体の中の異物を取り除くことが目的。

手術前に説明を聞くが、やるもリスク。やらぬもリスクだが、やらない方のリスクがでかい。
というか、やらない選択肢はないよね。という手術。

父はもともとペースメーカーがはいっていて、
5年くらい前に手術をしている。
その時も大騒ぎだったのだが、心臓をあけてみると臓器がだいぶ傷んでいるとかで、
リード線をとりつけることに相当苦労していた。

それをとりはずすのもリスク。
はずすときの出血、もともと血液をさらさらにする薬を飲んでいる父は血が固まりにくい。
もはやどんな感じになっているのかあけてみなきゃわからない。

2時間といわれた手術。
3時間で父は出てきた。

予定通り抜去は完了。
新たに外付けのペースメーカーのような機械をつけて父は運び出されてきた。

しばらくして、家族は救命病棟に呼ばれ、父との面会が許された。
人工呼吸器などたくさんの機械に繋がれた父。
だけど、血流が良くなったのだろう。
顔色はよく、普段末端冷え性という言葉で解決していた手足は暖かい。
これまでいかに血の巡りが悪かったってことなのかな。

話しかけても反応はない父。
果たして目を覚ますのだろうか。
そんなことも心配しながら、一生懸命話しかける。
ちょっとでも声が聞こえて、目が覚めてくれないかな。そんなことばかりを考えていたと思う。

10分くらいだったろうか。
面会を終えて、救命病棟を出た。
この扉の向こうで24時間、目の前の命を救うための治療が続いている。
どうぞ、父のことを宜しくお願いします。
誰もいない扉にむかって頭を下げた。

何かあれば病院から連絡がある。
連絡がないのは無事な証拠だろうか。
ただひたすらに待つ、という家族の戦いが始まった。

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