ボタンの掛け違い

チャックみたいに
誰かと自分が
完全に合致することは難しい。

だけど、
ゆとりを持たせたボタンくらいなら
できるんじゃないかと期待する。

だけど、
チャックと大きく違うのは
掛け違えることがあるということ。

チャックは始めがうまくいかないと
絶対動かないけど、1度合致すれば
その後はスムーズにいく。

ときどき、くうけど。

ボタンは始めが成功しても、
途中でズレることがある。

最後までボタンを閉め終わって
やっと気がつく。

ボタンがぽつんと1人取り残されたり、
穴がぽつんと1人取り残されたり。

自分が取り残された、と気がつくと
無性に寂しくなる。

誰かを取り残した、と気がつくと
無性に苦しくなる。

必死に
どこからかけ間違えたのか探すけど、
いつまで遡ればいいのか、
どのくらいの力で
ボタンを外していけばいいのか、
分からない。

果ての見えない作業に
更にまた虚しくなる。

たった一つのボタンなのに
それに翻弄される自分がいる。