【デザインの現場】パッケージデザインができるまで
今回は、長野のチーズ工房の『カプレット』さまにご提供したデザインを例にデザインができるまでを、なるべくわかり易くコンパクトにお伝えできればと思います。
こちらは段ボール紙への印刷を想定したものでした。ご依頼としてのご要望はあまりなく「お任せ」に近いもので有難かったです。
【デザインの手順】
〈市場調査〉
自由度は高かったのですが、まずはチーズ工房・チーズ製造のパッケージを探し求め、スーパー・デパ地下などでチーズの商品を見るなどのやれる範囲の地道な市場調査をします。(この時期は、チーズをよく食べました)
そして、段ボール・パッケージのデザインについて最新のお洒落なデザインを検索し続けます。気になるものは画像をどんどん拝借してフォルダに入れます(特に調べたのは、ギフトBOXですね)他には、持っているデザイン関連の雑誌や本を調査します。
〈ターゲットセグメンテーション〉
今回はターゲット層をこの場にお書きするのは控えますが、ざっくりとノートにターゲットセグメンテーション的なことをして、ペルソナを頭に描きつつデザインを考えます。
〈デザインの決まり〉
デザインというものは、各ビジュアルに理由がないといけないという鉄則があり、お客様はテーマに沿ったものであればある程、違和感なく心地よくそのビジュアルが見れるということになります。今回もそのことを念頭に置いてデザインしています。
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【ビジュアルに落とし込む】
お作りするのは、白地の段ボールのビジュアルです。
はじめにカプレット様のブログを読み込み情報を精査し、いただけるお写真があれば欲しいとお伝えしていただくことができました。
〈感動のストーリー〉
カプレットさまは、会社のストーリーとして自分で小屋を作って一から地道に山羊を育てる場所をお作りになりました。そこがとても感動した部分でありましたので、山羊を育てる場所をそのままビジュアルに落とし込みたいと思ったのです。
また、なんと言ってもここの山羊さんは果物を食べるそうです。果物を食べる山羊というのはなんともモチーフとして素敵なのでそちらもデザインに落とし込むことを考えました。
〈全体のイメージ〉
そしてラフを描きながら、その広場をチーズのイメージの円形二個で覆うということに落ち着きました。視覚的な「威力」「安心感」と「お洒落さ」などが理由となります。
自分たちで作り上げた小屋と周辺にあるという腐らない池の水面などをひとつづつ準備しながら、現代的でお洒落感を出せるように山羊たちが食べる果物(桃・林檎・洋梨・葡萄)を大きくし、山・雲・太陽などをよりポップなラインや(ギャルソン的な)ドット柄などにしました。苦労したのは、山の円の手描き感(均一でないイメージ)かもしれません。因みに、わたしのデザインに自然の太陽や山が多いのは、食品の恵みはそっからだよね、という当たり前なことを伝えたいからです。
山羊を選んで描いています。実はこのなかの一匹は部外者で、未来の山羊という想定で置いてみました。
そして、重要なのは絵柄を細かくして堅い印象にならないように注意しながら細かくならないようにというのと、段ボールへの印刷なのでインクの滲みを頭で想像して描いていきました(特に山や雲や大地のラインのニュアンスでしょうか)。
フォントの文字については、ロゴのイメージとのバランスや「歴史的」なイメージもあり周辺は明朝的なフォントを使用し、後はロゴに合わせたものと、コピーは「こだわり感」や「手作り感・アナログ感」を出す為に筆記体にしました。
最後に、段ボールの色は、そこまでブランドカラーがどうとか云わなくていいかもしれないと商品を拝見して思いましたので、3色程作ってお選びいただきました。自分で選んだということも何かポジティブな要因として作用するかと思ったからです。
デザインができました!
さぁ!皆さまカプレットさんにじゃんじゃんご注文ください。ご発注時には「モナドデザインさんからのご紹介!」でお願いします。別に何もお金は発生しませんけど、笑。
capretto
https://capretto.jp/
本日は、本職のパッケージデザインのお話でした。ありがとうございました。