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日本信号のロボティクス事業

本日の日経新聞で日本信号とサイバーダインの取組が記事になっていた。新型コロナウイルスの感染防止対策として、消毒液の噴霧や、紫外線の照射をしながら自動で巡回する機能を持っており、初年度100台の導入を目指している模様。

日本信号といえば「信号機」に代表される道路交通安全システム事業や「鉄道向けの運転支援装置:ATO」などの鉄道信号保安システム事業をやっている企業であるが、どうやらロボット事業も展開しているようだ。これは初めて知ったことだった。該社のホームページに記載されているが、駅案内コンシェルジュロボット、そして自動清掃ロボットに取り組んでいるようで、上記サイバーダインとの取組もまたこれに含まれてくるものである。自動清掃ロボットは2018年スタートの取組だ。

アニュアルレポートを参照すると、上記取組の背景がわかる。

 事業の再編では、2019年4月1日付でスマートシティ事業部を創設いたしました。既存のビジネスを確実に取り込みつつ、「駅」から「街」へ事業ロケーションを拡大するとともに、ロボティクスやMEMS(センサ)、EMS(地中レーダ)などの新技術を核としたセキュリティビジネスを強化します。
 また2017年に設立した安全信頼創造センター「ANSHIN館」に、次世代メンテナンスとして期待されているCBM*を実現するIoTプラットフォームを構築し、O&Mソリューションビジネスの立ち上げにつなげます。
 国際事業では、事業構造やサポート、マネジメント体制の強化により収益力を向上させます。
 新商品開発・事業成長の加速については、保有するコア技術(センシング、無線ネットワーク、画像解析)に加えて、新しいコア技術(IoT、ロボティクス、自動運転等)を獲得することで、自社の技術プラットフォームを整備・拡大します。進化した技術プラットフォームをベースに、次世代のニーズに応えるビジネスモデルの創出をめざしてまいります。
* CBM: Condition Based Maintenanceの略。「状態基準保全」とも呼ばれ、機器の状態を監視し、必要と判断された時にのみメンテナンスを実施する予防保全の考え方。
 “10年後のありたい姿”をめざして、当社は大きくビジネス転換を図ります。「機器を販売する」「個別案件に対応する」といったスタイルから、当社が強みとする高ロバストなセンシング技術と交通インフラの「場」を押さえている優位性をいかし、「データ解析を強みとしたIoTソリューション」「多様な顧客の潜在ニーズに対応する高付加価値な汎用ソリューション」を提供する事業へと進化していきます。ビジネス転換への主要戦略となるIoTソリューションでは、顧客のフィールドに設置した製品・システムからIoT技術により得られたデータを活用し、長年の経験とノウハウに基づく分析力をいかして予防保全、省力化、防災減災、遠隔地対応などの「新しいコト」を創り出す事業を志向していきます。また高付加価値な汎用ソリューションについては、「お客さまのフィールドを活用して製品開発ができるという競争優位性の源泉をいかし、潜在ニーズに対応する高付加価値の汎用品・モジュールを開発して幅広いお客さまへ提供する」というビジネスモデルに磨きをかけてまいります。

モノづくりをベースにコトづくりに注力するというメッセージが込められている。ロボティクス事業の真の価値はやはり予防保全・省人化といったコトへの貢献であって、決して機器販売が目的ではない。

該社の業績はここ3年で成長中なので、引き続き該社動向に注目してみたい。

参照:日本経済新聞、日本信号ホームページ