放課後の続き
「ねー、ピップエレキバン同士ってくっつくの知ってた?」
よくよく考えたら磁気の働きを利用しているんだから当たり前だ。
でも夜中の1時に剥がした時は大発見のことに思えた。
外に出て「ピップエレキバンってくっつくんだよ!!」と騒ぎたいくらいに。
話したいけど、彼氏や友達に話したら「当たり前でしょ」と笑われそうだ。理科もできないのかよって思われたらどうしよう。でも伝えたい。
とりあえずこのことを話して笑われなさそうな友達にLINEする。
「おー磁気だからね、冷蔵庫にもくっつくよ」
ぽんっと返ってきた「冷蔵庫にもくっつく」。さっそく試すと、思いの外勢いよくピタっとくっついて楽しくなってきた。
「氷結の缶にはくっつかない」
「浅田飴の缶にはくっつく」
「ハガキ3枚までなら貼れた」
こんな結果をいちいち
「氷結はアルミ缶だね」
「じゃあ浅田飴はスチール缶だ」
「意外とくっつくもんだね」
と丁寧に返してくれる。
その馬鹿にしてなく、けれど過剰に相づちを打たない態度が心地良かった。
ゆっくりと心がほぐれていく。
「素の私を見せても良いと思える存在」はあまりいない。
親には良い子どもの顔を、彼氏には理想の彼女の顔を、友達には元気な顔を、整合性が取れるように取り繕う。好きな人には最高の私を見せたいから。
八方美人だと思うけど、私と過ごして楽しいと思える時間を提供したい。
好きで大切だからこそ。
「知り合いを友達にするのに選り好みしすぎなのよ」
母に言われた言葉を思い出す。
選り好みしているつもりはないけど、傍から見たらそうらしい。
まあLINEの友達が23人、そのうち親戚とバイト先が14人。たしかに23歳女性の数字とは思えない。
本当に余裕がない時は取り繕えなくなる。生活しているだけでいっぱいいっぱいになってしまうから。
そうなると必然的に連絡頻度が下がってしまう。マイナスな面を見せたくないし。
こういうこと言うと「それは本当の友達じゃない」とか「信用してない」と言われるけど、その価値観を押し付けないでほしい。友達や彼女が物投げて叫んでいたらイヤでしょ。少なくとも私はイヤだし、そうなりたくない。
中学生や高校生の放課後みたいな、本当に中身のない話をするとストレスが少し軽くなる。素を見せても良いと思える相手限定だけど。
「楽しませたい」という感情抜きで話せる相手とLINEするのは気が楽だ。お互い気を遣わず、最低限の礼儀での会話。
「素を見せても良い相手」は過去に大喧嘩したり、知り合いモードの時にうっかり素を見せてしまった人がほとんど。
あとはこんなnoteを最後まで読んでくれる人くらい。
何も考えず、ぱっと書くのはやはり気持ちいい。何度も推敲して書くのも好きだけど。またnote再開しようかなー。