
第7話 『オセロッチ、克己心を磨け!!』
☆白黒★オセロッチ!
【前回までのお話】
(美女オセロ打ち、オセロレディと対決するオセロッチ。オセロレディが得意とする “だまし打ち” にまんまと引っ掛かり、オセロレディロックという技を決められてしまった。
窮地に立たされたオセロッチ!果たしてここから逆転できるのか!?)
前回
第7話 『オセロッチ、克己心を磨け!!』
オセロレディの技があまりにも見事に決まったので、
観客席からは歓声が鳴りやまない。
「いやあ〜、オセロレディ選手、大胆なトリックを決めてきましたね〜」
実況アナウンサーが感心した様子で言う。
「オセロッチ選手はまんまとやられましたね。ほんとにオセロレディ選手は “だまし打ち” が巧みですよ。いやぁ〜それにしても美人だなぁ〜でへへ。」
解説者は顔をほくほくとさせている。
「ねぇ、“だまし打ち”って何?」
響き渡る歓声の隙間を縫って、
ユメちゃんは隣に座っている小瀬路太郎に尋ねた。
「 “だまし打ち” っちゅーのは、オセロレディの得意技でな。いかにも弱そうな打ち筋で相手を油断させる技や。簡単そうに見えて案外難しいんや。」
「そんな、だますなんて卑怯だわ!」
「卑怯なことあるかい。下手に打ったらほんまに負けてしまう、諸刃の剣なんや。」
「・・・とにかく、オセロッチ、負けないで!」
ユメちゃんの声援は歓声にかき消された。
歯を食いしばり、鼻血を流すオセロッチ。
くやしさと後悔の気持ちがこみあげてくる。
どうしてオセロレディの甘言を真に受けてしまったのか。
「・・・よくもだましたな!」
オセロレディは余裕の笑みを称えている。
「かわいそうな坊や。でもね、だまされるほうが悪いんじゃない?」
オセロッチはわかっていた。
怒りをぶつける先はオセロレディではなく、
自分自身であることを。
その時、オセロッチの頭の中で、誰かの声がした。
―――「いいか、悪いのは失敗することじゃない、その失敗を次に活かさないことだ」―――
「!!!」
オセロッチは手の甲で鼻血をぬぐった。
「(そうだ!後悔している暇があったら、次の手を考えるんだ!)」
オセロッチのハートに火がついた。
「あら坊や、顔つきが変わったわね。」
オセロレディは唇の右端をつり上げた。
余裕ある表情は変わらない。
「だけど今頃やる気を出しても遅いわ。さ、終わりにしましょう、カゴの中の小鳥さん。」
オセロッチのメガネがキラリと光る。
「・・・オセロレディロックだっけ?抜け出してやろうじゃないか!この僕を閉じ込められるもんかッ!!」
オセロッチの視線が、オセロレディの瞳を射貫く。
「あーっはっはっはっは!言うじゃないの坊や。でもね、どうあがいてもあたしのロックから抜け出せやしないわ!!」
オセロッチVSオセロレディ!怒涛の終盤戦がはじまる!!!
(つづく)
(オセロッチの頭の中の声はいったい・・・?)
次回 ☆白黒★オセロッチ! 第8話 『ポロポロオセロッチ!?涙の理由(ワケ)は?』
☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラ