第２９話『ミジンコの受難！？助け船だよオセロッチ！』
☆白黒★オセロッチ！
【前回までのお話】
オセロッチ、ユメちゃん、アカネ、ミジンコの４人でシューズステーショントミヤマへ行った帰り道、ミジンコが不良小学生二人に絡まれたのだった…！ヤツらの正体は・・・？
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第２９話『ミジンコの受難！？助け船だよオセロッチ！』
「ねえ、ミジンコくん、あの二人は誰なの？？」
皆が気になっていたことをアカネが切り出した。
シューズステーショントミヤマの近くにある、帝塚山公園のベンチに４人は座っていた。
話題は先ほどミジンコにからんできた二人の不良についてだ。
「・・・ヤツは」
ミジンコが恐る恐る語り出した。
「背の低いほうは、南野ケムシ、横に居たデカいのはゴリ造っていう、ふたりともこの辺を根城にしてる札付きのワルでやんす。」
「どうしてそんな連中とミジンコくんが知り合いなのよ！？」
アカネが驚いてきいた。
「そ、それは・・・」
ミジンコが言い淀む。
「話すんだ、ミジンコ。」
オセロッチは落ち着いて腕を組んでいる。
「はぁ・・・」
ミジンコは観念したように深いため息を吐き、
訥々と語り出した。
「カジノでやんす…ケムシとは『放課後カジノクラブ』で知り合ったんでやんす…そんで、オイラはヤツに借金を作っちまったんでやんす…」
なんでもミジンコの話によると、南野ケムシとゴリ造は『放課後カジノクラブ』という名のカジノの常連で、そこには不良小学生達が集まり、麻雀、花札、ブラック・ジャックなどあらゆるギャンブルが行われていて小学生同士でお金のやり取りをしていた。
ミジンコは日頃のうっぷんを晴らす目的でそのカジノで遊び始めたのだが、そこで声をかけてきたのが南野ケムシだったとのことだ。
「ケムシのヤツ、知り合った頃はほんとにイイ奴だったでやんす…カジノでの勝ち方を教えてくれたり、オイラのグチを聴いてくれたり、悩み相談に乗ってくれたり、ジュースをおごってくれたり…本当の親友に出会えたと思ったでやんす…」
「バカだな。そんなのお前をカモにするために決まってるだろ」
オセロッチはクールに言った。
「今思えばそうだけど、その頃は全然そんなふうに思わなかったでやんす。それでヤツはオイラを勝負に誘ってきたんでやんす…オイラの得意なオセロで勝負することになったでやんす…」
ミジンコがオセロを打てることをオセロッチは知っていた。
もちろん腕前はオセロッチには遠く及ばない。
「はじめは勝ててたでやんす…ケムシの奴弱くて…おもしろいように勝てるんでついついレートをあげてしまって…ここ一番って大勝負の時にボロ負けでやんすよ…」
ミジンコは頭をグシャグシャと掻きむしった。
「それで、借金はいくらなんだ？」
ミジンコは頭を抱えたままぽそりとつぶやいた。
「・・・な、７万円・・・。」
「「な、ななまんえん！！！！！」」
オセロッチとユメちゃんは声を合わせて驚いた。
「どうやったらそんなバカでかい借金が出来るんだよう！！」
ユメちゃんは呆れている。
「あんまりにも勝てるもんで、つい調子に乗ってしまったでやんす…」
「それで、どうするの！？まさかそのお金、払うの？？」
金額をきいてもアカネは冷静だ。
「そんなお金、無いでやんすよ…かと言って払わないワケにもいかないでやんす…」
「そんなの踏み倒せばいいじゃん！」
強気なユメちゃん。
「バカ言うなでやんす！ケムシはオイラの学校も家の住所も電話番号もなにもかも知ってるでやんす！もし逆らったら、何されるかわからないでやんす・・・。」
重い沈黙が一同を包んだ・・・。
「それ、払わないほうがいいよ」
オセロッチが落ち着いて沈黙を破った。
「いや…」
「一度でも払ってみろよ。連中はお前を手放さない。さらにカモられ続けるだろうよ。」
「じゃあどうするでやんすか！？オイラがヒドい目に合えばいいのか！？」
「そうはさせない。僕がそのケムシってヤツと話をつけてやる！」
「え！？」
ハッとする３人
「オセロなら僕に任せてくれ。僕がケムシに勝って、ミジンコの借金を帳消しにしてやる！」
ユメちゃんが慌ててオセロッチの服の裾を引っ張り、ひそひそ声で言った。
「（いいのか！？オセロッチ！素人相手に打っちゃダメなんだろ！？そんなことバレたら天空闘技場に出場停止になっちゃうよ！）」
「（そんなこと言ったって！僕が打つしかないだろう！？）」
「ねえ！なにコソコソ話してるの！？？」
オセロッチとユメちゃんの内緒話をアカネがぶった切った。
「な、なんでもないよ！こっちの話！とにかく、明日にでも僕を放課後カジノクラブへ案内してくれ！」
こうしてオセロッチは、
ワル共の巣窟、『放課後カジノクラブ』へと向かうのだった。
（つづく）
☆白黒★オセロッチ！ 次回 第３０話『作戦会議だオセロッチ！！ユメちゃんの懸念！？』
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